今年で6回目になるふくしま植樹祭。
マスコットキャラクターの「んだべえ」が
暑い中、たぶん一番暑いと思われるすがたで
元気にお出迎えしてくれました。
事前に申し込みをしていた約500人の参加者が
植樹・育樹活動を行います。
植える木は、ブナ、カエデ、ヤマザクラなど。
今回は初めて、野生動物との緩衝帯整備として
低木の伐採も行いました。
簡単で軽微な作業ですが
普段使い慣れていないと
小さなノコギリで細枝を切ることも
思いの外、難しいものです。
お子さんややったことのない方には
良い経験になりそう。
木を植えるために穴を掘る作業も
最近の雨不足でカチカチになった土を相手に
悪戦苦闘しました。
スコップも容易には歯が立たない堅さ。
大きな石にも当たって思ったより大変。
グループのなかにプロ仕様の方がいると
作業がスムーズにいくのですが
私たちのグループは軽装の一般参加者で
しかも他のグループより人数も少なく
1人が穴を掘って木を植える数が約6本
植え終わった直後は、
すごくやった感がありました。
さて…
イベントが始まる前の時間に
暑さを避けて屋内で待機していたときのこと。
近くに座った方とお話する機会がありました。
その方は会場から1時間ほど離れた場所から
自ら車を運転して来たとおっしゃいます。
御年80代後半
林業の仕事に長年携わり、今も現役。
数々の「長」の付くお仕事を歴任されたとのこと。
私は最近特に疑問に思っていた
山林を伐採してソーラーパネルを
設置する件について聞いてみました。
「どうしてこんなに禿山になるほど
後先考えずに伐採するのか」と。
すると、さすが!的確なご返答が。
木を一本育て商品として売っても赤字になる
(一本50万円で売れても赤字)
山を所有する人は資産家が多く
林業以外のことで生計は成り立つので
山のことで公的機関に訴えることが少ない
そしてなにより
木が果たしている役割や重要性を認識していない。
木の役割とは
「水資源の涵養(かんよう)」
山に木が植えられていると
そこに降った雨などの水を
100日の間保水してくれるそうです。
それがなかったら
降った大雨がそのまま下へ流れ出ることに。
そして、「二酸化炭素の吸収」
私たちの吐き出した息を還元してくれています。
もし、それがなかったら?
酸素がなくなってしまうことに。
酸素がなくなってしまったら?どうなる?
そのほか木材となって活用などなど。
木にも寿命があるそうで
ブナの木なら150年~200年
その間、木にも働き盛りの年齢があり
その年齢を過ぎると仕事は引退…
木も人も一緒のようです。
闇雲に手当たり次第に伐採するのではなく
木の年齢を見極め
適切に管理することが重要だと
お話をうかがって学びました。
景観の問題として
地元でも取り上げられていることですが
それだけではないことを
もっと周知できたらよいのではないかな。
そしてもうひとつ
ついでにこれも最近気になっていることを
会話のなかに織り込んでみました。
「車の運転、ご家族からは止められないんですか」
林業の質問には、なんにでも明快な即答があり
さすが!なオジサマでしたが
この問いには柔らかな微笑みで返されました。
それでも
耳の痛いであろう
しかも何処の馬の骨とも知れぬ
初対面の者からの質問にも
感情を害することない対応はご立派です。
長い間第一線で活躍、今も現役の方の
豊かな知識に裏打ちされた
人間力を感じた20分間でした。
活動のあとのお蕎麦は格別。
地元野菜の天ぷらも揚げたて熱々。