なぜか「100万回死んだねこ」だと思っているひとが多い(かく言うわたしもどっちだったか迷いました)あの有名なロングセラー絵本作家の作品です。
「わたし クリスマスツリー」
(講談社 2006年10月第1刷)
作・絵 佐野洋子
ロングセラー「100万回生きたねこ」の作者・佐野洋子さんによる絵本。
佐野洋子さんの公式サイトによると、本書は初版刊行が1990年、作者が「意欲的に活動をしていた頃の一冊」です。
もみの木が主役のクリスマス絵本、けっこうあるんですね。
以前記事にした「お祭りにいけなかったもみの木」を読んだとき、めずらしいと思ったのですが違いました。
着飾るイメージがあるからでしょうか、
今回のもみの木も語り口からすると女の子のようです。
お話しの内容は…
山のふもとの雑木林のなかに、
一本のもみの木が立っていました。
周りの木々たちは、
もみの木が小さな芽のころから成長を見守ってきました。
もみの木の夢は、
「きれいな町でクリスマスツリーになること」
今年こそ夢を叶えようと一心に思うもみの木です。
雑木林の鳥たちに
貨物列車が何を載せていたか見てきてもらっては、その日を待ち焦がれます。
ある日、カケスがもみの木に知らせてくれました。
「もみの木を載せた貨物列車が走っていくよ」
驚くことに、
もみの木は自分の根っこを土から引き抜き、
みんなが止めるのも聞かずに
貨物列車のほうへ一目散に駆け出しました。そして…
自由奔放な絵…
もみの木が根っこを引き抜いて駆け出す姿、想像すると?
ストーリーも思い切ってますが、その絵もなかなか大胆です。
タコ足のように伸びた、もみの木の走る根っこから、
もみの木の強い思いが伝わってきます。
そして、ページをめくるごとに
秋から冬へと移り変わる季節の描写
黄金色に輝く景色から
蒼く澄んだ白銀の世界へと変化する様子も美しいです。
そして物語は…
自分で根っこを引っこ抜いて思いを遂げようとした、その発想がすごい。
願いをかなえるためには、まずは自分の力を振り絞る。
精一杯のことをする。
動かないでいては願いは遠のくばかり。
さて、もみの木の願いは叶ったのでしょうか。
それはぜひ、自ら絵本を手にして、お話を読んで確かめていただきたいと思います。
私はこの物語の結末、
周りの優しさと、もみの木が愛らしくて結構好きです。
みなさんならどんな風に感じるのでしょう。
感想を聞いてみたいなぁ。
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