hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【アナトールとねこ】主人公はねずみ

当ブログではアフェリエイト広告を利用しています

ねこは脇役敵役、でも社長のねこ

「アナトールとねこ」

(好学社 2022年11月30日 第1刷)

作/イブ・タイタス

絵/ポール・ガルドン

訳/石津ちひろ

☆原作の「Anatole and the Cat」は1957年に発表されました。

どんな絵本…

フランス一尊敬されている

ねずみのアナトールが主人公です。

 

イラストは小粋でおしゃれ。

ペンを用いた素描画のような雰囲気。

色彩は白と黒を基調として

エッセンス風に使われるトリコロールカラーが

洗練されたフランスの雰囲気を醸し出しています。

 

どんなお話…

主人公のアナトールは、小さなねずみですが

人間の営むチーズ工場で働いています。

ただ、深夜誰もいなくなった工場への出勤で

誰もアナトールを見たことがなく

当然ねずみだということも知りません。

 

アナトールの仕事はチーズの味見係

今までその舌で数々の新商品を開発し

工場の業績UPに貢献してきたのです。

 

いマフラーにのガウン

斜めにかぶったベレー帽の色は

自転車にまたがり深夜、石畳の小道を

颯爽と出勤するアナトールは家族持ちです。

優しい奥さんと6匹の子どもたちがいます。

 

ある日そんなアナトールの

仕事も家庭も充実した生活を脅かす存在が現れて…

 

本作の魅力は…

私は今回脇役敵役となった

ねこのワルい表情が好きです。

ねこは可愛いだけじゃない。

この悪っぽい目つきがなんとも言えずよい。

上から睨みつけたり横目でじろり。

 

このねこ、社長のペットなので威張っています。

自分のことを「おれさま」とか言っちゃいます。

シャルルマーニュという立派な名前もありました。

 

当然のことながら脇役なので

アナトールにしてやられてしまいますが

そんな姿も愛嬌があって可愛い、かも?

 

と、ここまで猫好き目線で語ってみましたが

実は本作の作家イブ・タイタスさん(1905-2002)は

大のねずみ好きらしいです。

アメリカの児童文学者である彼女の代表作は

本作のアナトールを主人公としたシリーズと

ねずみの私立探偵が主人公の

「ベイカー街のベイジル」シリーズ。

こちらはシャーロックホームズのパロディ作品で

タイタスさんはホームズの大ファンでもありました。

 

 

賢くて頼りになるおとうさんねずみのアナトールは

作者の強い思い入れのこもった主人公だったのでした。

 

本作は、ねこが首輪に鈴を付けるきっかけになったともいわれているとかいないとか。

そんなことを考察しながら読むのも面白い作品です。