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【にぎりめしのすきなだいじゃ】松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話

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「にぎりめしのすきなだいじゃ」

松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話

小学館 2001年11月 初版第1刷) 

監修・文・松谷みよ子 

 絵・長野ヒデ子

松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話シリーズ最後はこちら。

この昔話は私好みの昔話でした。

その理由はのちほど。

どんなお話…

真っ暗な山の中に道に迷ったひとりの男がいます。

すぐそばには鮮やかな赤い花を咲かせた大きな椿の木。

 

物語は、こんなふうにはじまります。

むかし ひとりの おとこが、

いつも きている やまなのに、

みちが わからんように

なってしもた。

あちこち あるきまわるうちに、

ひがくれてきた。

ふと みると、おおきな おおきな

つばきのきが、いちめん まっかな

はなを つけていた。

「しかたがない。ここで こんやは、

とまることにしよう。

 

木の下で休んでいると

山の神が現れて椿の木と話すのをききました。

それは男にとって恐ろしい予言

今日生まれた男の子が12歳で大蛇に飲まれ

死ぬというものでした。

 

男が大急ぎで家に戻ると赤ん坊が生まれたばかり。

男は大喜びします。

先ほど聞いた不吉な予言は誰にも言いませんでした。

月日は流れ、赤ん坊は

親想いの優しい男の子に成長しました。

 

男の子が12歳を迎えたある日

村人たちが集まって川の土手を直すことになりますが

ちょうどケガをして動けなかった父親は

息子を代わりに行かせることに。

 

そのとき昔聞いた予言を思い出した父親は

出かける息子に

山ほど作ったおにぎりを持たせます…

読んだ感想を…

なぜ父親は不吉な予言を思い出したのに

息子を出かけさせたのでしょうか。

 

危険な場所には行かせないという手段もありそうなのに。

思うに大昔は

自然災害や病気に対しての手立ても

今ほど整ってはいないため

自分の力、例えば対応力や免疫力が

そにひとの命運を分けたのではないでしょうか。

 

あらゆるトラブルや危険から

ずっと逃げ続けられるわけではないことを

今の時代の人たちよりも

ずっと身に染みてわかっていたのでは。

 

父親は、無事に戻った息子を見て

涙を流して喜びます。

 

父親はそっと陰ながら

大量のおにぎりを持たせて手助けしますが

自分の力で叡智を駆使して危険を乗り越えた息子。

これからはどんな困難があっても

たくましく乗り越えていけそうです。

先に述べたこの昔話が好きな理由は

男の子の無事ももちろんうれしかったのですが

大蛇もおにぎりをお腹いっぱい食べて大満足。

「たっしゃで くらせよ。」とまで言って

去っていきます。

みんながウインウインの結末が心地よかったです。