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一期一会の本と日常のおはなし

【はるですよふくろうおばさん】寒がりふくろうの絵本

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編み物が上手過ぎるふくろうおばさん。

「はるですよふくろうおばさん」

講談社出版文化賞絵本賞受賞

講談社 2006年2月 第1刷)

作・絵 長新太

どんな絵本…

春と言えば何色を思い浮かべますか。

私は淡い緑や、桜の色。

本作は冬から春へのお話ですが

私の想像する春の色とは

まったく違う色の世界です。

 

文章・絵、ともに長新太さんによるもの。

自由で雄大で、そしてユーモラスな表現の絵

これまた自由で雄大でユーモラスな発想

ふくろうのふくろのお話が描かれていきます。

どんなお話…

とても寒がりなふくろうおばさんが主人公です。

どうやら編み物がとても上手なようです。

 

自分で編んだセーターやマフラーを身につけて

寒さ対策していますが

それだけでは足りないみたい。

 

周りの木に大きなふくろを編んで被せます。

それでも、ふくろうおばさんは寒い。

 

もっともっと大きなふくろを編んで

森全体に被せることを思い付きます。

 

どんどんどんどんページをめくるたびに

ふくろうおばさんが大きなふくろを

編んでいく様子が飄々と描かれていきます。

 

ポーカーフェイスのふくろうおばさんが

表情を変えずに淡々と編むふくろ。

読者はそのスケールの大きさに圧倒されるかも。

 

どこにそんな毛糸があったのか

なんてことは考えてはいけません。

必死になればなんでもできるんです(たぶん)。

 

さて、森に住んでいるのは

超寒がり屋のふくろうおばさんだけではなかった。

ふくろうおばさんは森ごとふくろに包んで

やっと温かくなってきたとうれしそうですが

森を蔽いつくすふくろの中の動物たちは

あまりの暑さに大騒ぎになって

森を飛び出してしまいました。

 

そこで一匹のきつねさんが言いました

「もう はるですよ ふくろうおばさん 

もりの ふくろを とって くださいよ」

 

ふくろうおばさんはどうしたでしょうか。

それは読んでのお楽しみに。

著者は…

長新太さんは1927年東京都生まれ。

絵本作家、漫画、挿絵、イラストレーション、

エッセイなど、様々な分野で活躍。

ユニークで、ナンセンスで、ユーモアあふれる

作品で知られている。

本作で講談社出版文化賞絵本賞、

「キャベツくん」で絵本にっぽん大賞など

数々の賞を受賞しています。2005年77歳で逝去。

 

ふくろうおばさんの体感温度を表すような

暗く寒々しい青紫色のふくろから

山火事が起きそうな燃えるオレンジ色のふくろまで

 

これが編み物なのかとびっくりするような

ふくろうおばさんが編んだ地球規模のふくろを眺めて

ぜひ熱くなったり寒くなったりしてみてください。