hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【今週の絵本】よく切れそう。

今週読んだ絵本です。

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「とこやのザリガニータ」

作・絵:タツトミ カオ

(ひかりのくに 2024年4月 初版発行)

 

絵本の魅力のひとつは、どんなものでも主人公になれることじゃないだろうか。

今日の絵本の主人公は「ザリガニ」。しかも床屋さんをやっている。さらに、腕が良くて人気があるらしい。自前のハサミを駆使して、お客さんの要望にぴったりの髪型に仕上げる見事な腕前。

お客さんは、伸び放題のロングヘアーに悩むとうもろこしや、下駄を履いてやってきたちょんまげ希望のなす男子などなど。

みんなに愛される床屋さんのザリガニータですが、ある日、思いがけない出来事のために、大事な商売道具のハサミが片方取れてしまいます・・・

 

巻末に書かれた「作者のことば」には、ザリガニに対する愛情が感じられます。小学生だった息子さんが見つけてきた小さなザリガニを飼育していたことがあるそう。そのザリガニは片方のハサミがなかったそうです。本作は、そのザリガニの姿に励まされて作られた、20年前のデビュー作。

 

愉快な登場人物を、明るいパステルカラーのユーモア溢れるイラストで描いた楽しい絵本を読んでみませんか。

そうそう、ザリガニータには、かわいい弟子がいます。いつもザリガニータの隣にいる見習いサワガニッチのお茶目なやらかしにも注目してください。

 

【今週の絵本】小さな小さな主人公

今週読んだ絵本です。

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「小さな共生者たち 森のネットワークのはなし」

文:エイルサ・ワイルド

絵:アヴェーヴァ・リード

アートディレクター:ブライオニー・バー

サイエンスディレクター:グレゴリー・クロチェッティ

日本語版監修:玉川大学学術研究所菌学応用研究センター

訳:松本有希子

(玉川大学出版部 2026年1月10日 初版第1刷発行)

英語の原題は

The Forest in the Tree: How Fungi Shape the Earth

一人称の主人公「ぼく」は土のなかに住む菌類の胞子です。

「ぼく」がどうやって「木」の中に「森」を作るのか。

すぐそばで、しかも40億年も前から行われている菌類の営み。

小さすぎて人間の肉眼では見ることができない、ミクロの世界を

「ぼく」自身の言葉と、目には見えない土の中の複雑なシステムをイラストで視覚化した作品です。

 

前半は地下にひそむ胞子の「ぼく」が

どうやって食べものを探したり、住処を見つけるか。

どんなふうに地面の中に大きなネットワークを作っていくか、

住処となった「木」にどんな恩恵をもたらすか、お互いにどのように助け合っているか、といったことが細密で温かみのある柔らかなイラストとともに語られていきます。

 

後半は、物語にでてくる科学についての解説です。

物語の中には、「ブロマ」や「グロムス」「アクチノ・アゾ・モナ・ティリー」など初めて耳にする言葉も多かったですが、それらの用語やそれぞれの関係性についても丁寧に解説されています。

 

解説の中には、物語中の文章から大切な部分を抜粋して、さらに詳しく説明しているところもあり、より科学を身近に感じるきっかけになりそうです。

小さじ1杯ほどの土の中に、どれほど多くの生命の営みが繰り広げられているか、それが私たち人間も含む地球上の全生命に、どれほどの恩恵を与えているものなのかがこの絵本には詰まっています。

全4巻のシリーズ、ほかには

「サンゴの白化のはなし」

「光るイカのはなし」

「土の循環のはなし」があります。

【今週の絵本】一個だと思ってた。

今週読んだ絵本です。

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「ブラックホールってなんだろう?」

文:峰重 慎

絵:倉部 今日子

(福音館書店 2019年7月1日発行)

 

なんと、天の川銀河だけでも100万個以上あるそうです。

知らないってオソロシイ。

名前となんとなくの情報だけで、どんなものか、勝手に思い込んでいました。

作品の終わりに

「かつては「こわいもの」や「わるもの」とばかり思われてきました・・・」

と書かれていますが、私は絵本を読むまでそう思っていました。

どうやらそれはとんだ間違いらしい。絵本を読んでよかったなぁ。

 

直径50Kmのブラックホールの重さは、地球約300万個分だそう。(どうやって計ったの?)

普通のブラックホールはこのくらいの大きさだそうですが、天の川銀河のど真ん中には、超巨大ブラックホールがあるんだそうです。

ブラックホールに「普通」と「普通じゃない」のがあるなんて、ついさっきまで1個しかないと思ってた私はまたびっくり。

このど真ん中の超巨大ブラックホールの重さは、なんと地球1兆個分以上。

一体何を吸い込んでいるんでしょうね〜

と、ひとつだけ私の考えが合っていたことがありました。ブラックホールはなんでも吸い込むところ、これだけは以前から思っていたとおりでした。

興味深い記述もありました。ブラックホールとブラックホールは合体するらしい。(なんで?)

そもそも、どうして私はブラックホールを「わるもの」と思っていたのだろう?何かされたというわけでも無いのに。(それとも気づかないうちに何かされた?)

読んでいくといろいろな興味が湧いてきます。

白と黒で描かれた天体のイラストは壮大で美しく時々可笑しみのある絵も出てきます。なんといっても、私でも理解可能なとても分かりやすい文章は初心者の大人にもおすすめです。

 

おしまいのページには、こんな一文が書かれていました。

「ブラックホールには、まだまだたくさんの謎が残されています。その正体を解き明かすのは、あなたかもしれません。」

これははっきりとわかるな、私ではない・・・

【今週の絵本】大きな大きな主人公

今週読んだ絵本です。

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「山がめざめて When the Mountain Wakes」

作:マット・シャンクス

訳:梨木香歩

(ひさかたチャイルド 2025年12月第1刷)

山がめざめて

山がめざめて

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大きな大きな「山」が主人公のお話。

しかもある日、むっくりと起き上がり歩き出す動く「山」。

 

そして、物語で綴られる時間の流れも大変な長期間です。

数十年や数百年でも、人間にとっては「長い」と感じますが

この絵本の中で過ぎる時間は、千年、億年、永年・・・

 

山が目覚めるのは、

生命が誕生し、文明が発展し、人類が繫栄したその先の

何億年も経ったある日のこと。

目覚めた山の目に映ったものは、

見渡す限りどこまでも砂地が広がり、他には何も誰もいない静かな世界。

はじめはじっとしていた山ですが、

あまりのさびしさに、どかかから聞こえてきた「うた」を探しすため地面から立ち上がり歩き始めました。

 

この絵本の中で、山が目覚めた世界に、人間の姿はありません。それどころか砂と石以外は何も見当たらない世界。

物語の内容はスケールが大きく、過去に栄えた人類の影も形もない長い時間が過ぎた先のこと、と言うと、やや取っつきにくいテーマに思われますが、明るい色調で描かれたポップなイラストによって身近で親しみを感じるものになっています。

目覚めた山のつぶらな瞳をした表情も、丸みを帯びた体つきも、朴訥としてどこか可愛らしい感じに見えます。

また、縦31cm×横22cmの大きな画面から出来事の雄大さが伝わってきます。

「うた」探しの旅を続け、何も見つけられずに千年が過ぎたある日、「山」は小さな小さなある「生命」を見つけます。そして・・・

 

時間の流れや生命の営みについて、誰しも人間の時間尺で考えがちだと思いますが、別な視点で考えることができる絵本です。

【今週の絵本】思ったことがありますか。

今週読んだ絵本です。

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「わたしのせいじゃないーせきにんについてー」

文:レイフ・クリスチャンソン

訳:にもんじ まさあき

絵:ディック・ステンベリ

(岩崎書店 2017年2月28日 第1刷発行)

本作はスウェーデンうまれの「あなたへ」という小さな絵本シリーズの1冊です。

他にも「ともだち」や「ひとりぼっち」「だいすきなあなたへ」などのタイトルがあり、「人間の生き方」をテーマとした内容で、原作は15冊以上が刊行されているベストセラーだそうです。

 

この作品、いじめをテーマに扱った内容となっていますが、読んでいくと、かなり耳が痛い言葉が並んでいます。

「わたしのせいじゃないわ」

「ぼくはしらない」

「みてるだけだった」

・・・・・・・・・・・・・・・

「おおぜいでやってたのよ」

「はじめたのは わたしじゃない」

「その子が かわってるんだ」

「よわむしなのよ」

・・・・・・・・・・・・・・・

「たたいても わたしは へいきだった

みんな たたいてたんだもの

わたしのせいじゃないわ」

 

スウェーデンの学校では、「オリエンテーリング科」という教科があるそうです。

人間の生き方や社会問題、人間関係に目を向けたテーマを扱う教科です。

シリーズの中でも深刻でシリアスなテーマを扱う本作。

実際に力を加える者、遠巻きに眺める傍観者、被害を受けている側に原因があるとする者、と被害を加える側、加担する側や見て見ぬふりをする側の立場から描かれた作品です。

・・・作品の中のどの言葉にも自分が当てはまらないとは、とても思えませんでした。

白地に黒い線のみで子どもたちを描いたイラストも印象的です。

 

【今週の絵本】お布団に潜り込めば、そこは。

今週読んだ絵本です。

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「まよなかの ふとんおうこく」 THE NIGHT TENT

作:ランディス・ブレア

訳:大友 剛

(瑞雲舎 2023年10月1日 初版発行)

お盆中だったので、仕事帰りに墓参り。なんやかんやで時間が遅くなってしまい日が暮れ始め、焦りながら2か所目のお墓へ向かいましたが、時間は遠慮なく過ぎていき、たどり着いたときには辺りは真っ暗・・・近くに明かりもなく、真っ暗闇の墓地は、ひっそり静かで、やっぱり怖ーい、なんかでそー、と急いで仏花を花立に突き刺して逃げるように帰ってきてしまった、そののち読んだ絵本です。

 

この作品は、作家・イラストレーターとして「ニューヨーカー」などで活躍する作者の初めての絵本。

絵本を開いた途端に目に入る、藍紫を基調にした夜の暗闇。神秘的な色合いに引き込まれます。

細密に描きこまれた子供部屋も、タイトルにある「ふとんおうこく」も、王国の森の中に潜むどこか愛嬌のある表情の怪しげな生きものたちも、みんな濃い藍色や薄いラベンダー色の世界に染まっています。その暗闇の「ふとんおうこく」を照らすのは、黄色に輝く無数の星たち。夜の美しくも怪しい雰囲気が始まりから終わりまで物語を包み込んでいます。

暗闇が怖い、夜が怖くて眠れない主人公の男の子が、小さなクマのぬいぐるみとともに一夜を旅する「ふとんおうこく」の世界。

眠れない男の子の、飛び出したようなふたつのおめめが印象的でした。

【今週の絵本】もふもふ、じゃなく

今週読んだ絵本です。

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「ふわふわ」新版

文:村上春樹

絵:安西水丸

(講談社 2023年5月30日 第1刷発行)

講談社の創作絵本

新版にあたり、1998年6月刊行の絵本のサイズ、レイアウトを変更

遠くで雷の音がする。ときどき近づいて、また遠くなる。

雨が降りそうで降らないまま、かれこれ二時間になる。

部屋の気温は29℃。

私には暑いので冷房を点けたいのですが点けられない。

 

私の家にも猫がいますが、

この物語に出てくるような賢い猫ではありません。

物語の大事な核を成す

「ぼく」が一番好きな「年老いたおおきな雌猫」はとても賢い猫。

 

村上春樹さんの紡ぐ文章は、

形のない思いに、なんて素敵に言葉を当てはめていくんだろう。

猫を通して、猫とともに、見える世界、感じる事柄。

誰もの心の中にふわふわと漂っていること。

 

安西水丸さんの猫の絵は、わざとシャドーを入れず

わざと全体像を描いていません。

そうしてタイトルの「ふわふわ」感を表現したそうです。

 

雷がいつの間にか止みました。

結局雨は降って来ず。

部屋の中は29℃、湿度は72パーセント。

冷房をちょっとだけ点けたいのですがまだ点けられずにいます。

うちの猫が、ベットの上で長々と体を伸ばしてお休み中なので・・・

 

あ、起きたみたい。