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一期一会の本と日常のおはなし

【きんいろのしか】インドの昔話

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インドの説話集「ジャータカ」の一篇を基に。

「きんいろのしか」

(鈴木出版 2013年4月 初版第1刷発行) 

文 唯野元広  

絵 清水耕蔵

 

どんな絵本…

人間の愚かさは昔も今も相変わらず

 欲深く

 約束を破り

 自分(人間)のことしか考えない

 

そんな人間の性質をわかりやすく伝えつつ

お釈迦様の前世の姿に例えられた金色のシカによって

人間が正しい道に導かれていくまでを描いています。

 

清水耕蔵さんによる絵は

大胆に単純化されながら力強さを備えた金色のシカ

装飾画のように美しく描かれた花木や波の動き

多彩な色と細密な伝統柄で描かれた人間の衣装が

見どころとなっています。

 

どんなお話…

今回お釈迦様は金色のシカになって現れました。

 

溺れそうなひとりの男が

金色のシカによって助けられ命を救われます。

 

そのとき男とシカは大事な約束をしましたが

欲に目がくらんだ男は

その約束をいとも簡単に破ってしまいます。

 

さらに金色のシカは

自分たちのことしか考えない王様によって

身の危険にも晒されます。

 

本当は絶大な力を持つ金色のシカ

人間をコテンパンに懲らしめることも

容易でしょうが、そうはしません。

 

しっかりとその人間の弱さ愚かさを

その者たちに自覚させたのち、広い心で許します。

 

そして王様は獣を獲らないことを人間たちに

金色のシカは人間の畑を荒らさないことを獣たちに

それぞれ言い渡すことで平和が生まれました。

 

全ての生き物が仲良く暮らしていく

それがこの絵本の物語の終わり方です。

 

ジャータカはお釈迦様の前世の姿を

シカやウサギなどの動物で表しながら

仏教の教えを説く物語。

 

この作品は大昔に書かれた

ジャータカの説話を基にしていますが

それから長い年月が過ぎた今も

人間の性質は変わることなく

同じことを繰り返しています。

 

今こうしている間にも

いつもどこかで争いの絶えることない

この世においても

大切なことを教えてくれる物語です。