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一期一会の本と日常のおはなし

【海へさがしに】フロリダ州のベロ・ビーチにて

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作者が住んでいた家の通りの名前はビーチコウマー

「海へさがしに」

福音館書店 2002年4月発行) 

作 デブラ・フレイジャー  

訳 井上荒野

どんな絵本…

1998年に発表された作品の原題は

OUT OF THE OCEAN」日本語訳「海から

 

本作は写真と様々な技法を使ったイラストを

コラボレーションした写真絵本です。

 

使われている写真は、作者が

1991年から1996年にかけて

フロリダ州のベロ・ビーチで撮影したもの。

 

海の風景写真、海辺でみつけたものの写真

 

イラストに使われている画材は

キャンソン・ペーパーという色紙や

作者自身が型押しした厚紙で

緑や赤や青、鮮やかな原色使いの紙を

切り貼りしたハイビスカスやヤシの木、

その絵は独特の立体感があります。

どんなお話…

いろいろな表情を見せる海の姿を前に

ひとりの女の子が語ります。

 

海のこと

海についてママが教えてくれたこと

海が女の子にくれるもの

 いろいろなかたちの貝殻や

 すべすべ ぴかぴかになったガラスのかけら

 

女の子が浜辺で見つけたものは

大きいものから小さいもの不思議なものも

 

小さいものは家に持って帰って宝物に

 

大きいものは持って帰れないもの

 お日さまや、水やウミガメの足あと…

 

色紙のコラージュで描いた

ダイナミックな浜辺のイラスト風景のなかに

キラキラ光る海に向かって手を振る

影絵のような少女の写真が添えられて

独特の美しさを見せてくれました。

海の新聞も…

絵本の最後には

海辺に流れ着いた漂流物についての

詳しい解説が掲載されています。

 

貝殻、瓶のなかのメモ、ペリカンの羽

木靴、アカウミガメの頭蓋骨などなど

 

流れてきたもののなかには

美しいものもあれば

「はげしい怒りをおぼえる」(作者談)ものも。

 

作者の漂流物に対する言葉を。

ひとつひとつが物語の断片のようです。

とても楽しく、ときにきびしく、わたしたちに

この世界について教えてくれます。

人間の行為が大地と海にどれだけの影響を

およぼすかを知らせてくれるのです。

 

ところで作者のデブラ・フレイジャーさんが育った

フロリダ州のベロ・ビーチ近くの通りの名前

ビーチコウマー

この言葉の意味は「漂流物を拾う人」だそう。

通りの名前になるほど生活に根付いているのですね。