ずっと前からインドはインド。
「ラン パン パン」インド民話
(評論社 1989年6月 初版)
再話 マギー・ダフ
絵 ホセ・アルエゴ/アリアンヌ・ドウィ
訳 山口 文生
どんな絵本…
最近観たインド映画が面白くて
急にインドへの興味が強まりました。
強烈で独特で、それでいて明るい。
どんなお国柄なんだろう?
そこでインド民話の絵本を読んでみることに。
主人公はクロドリ
カラス風の黒い羽根に赤い嘴
歌の上手い亭主クロドリの声を聞いた王様が
間違って奥さんクロドリを捕まえて
自分の城に連れて行ってしまいます。
あっ、この始まり方、映画の冒頭に似てる!
立場の弱い者たちが、権力者に強引に搾取されるところ。
奥さんクロドリを連れ戻すため
亭主クロドリは立ち上がります。
これも似てる!
対象であるものの立場は異なりますが
愛するものを助けるため
権力者に戦いを挑むところはそっくり。
刀や盾や兜を身につけ武装した亭主クロドリは
王様の住む城へ向かって
手製の太鼓を叩いて行進します。
「ランパンパンランパンパン」♬
武装した亭主クロドリの絵がかわいいです。
これで勝てるのか⁉
物語のなかの重要なアイテムとして
音楽が登場するところも似ています。
観たインド映画のなかでも重要なシーンで
突然朗々と歌ったり激しい民族ダンスを踊ったり。
絵本のなかでも映画でも、そうすることが
弱き立場の者たちの意識高揚に繋がります。
なにも大砲や拳銃だけが武器じゃない。
行進の途中で亭主クロドリは
猫と木の枝、川、アリを仲間にし
耳の中に入れて一緒に行くことに。
川?耳の中に?
木の枝?考えにくい組み合わせ。
ありえなさそうなことが
なんの矛盾もなさそうに起こるところも
観たインド映画に似ています。
ついに城にたどり着いた亭主クロドリを
王様はあの手この手でやっつけようとしますが
耳の中にいた仲間たちが大活躍。
王様があの手この手と
なかなかとどめを刺さないところも似ている。
そして映画でも、耳の中の仲間のように
主人公を助ける自然由来のものたちが登場します。
テンポ良いストーリー展開
現代人が失いかけている野性味や自然との融合
どんな時も力強く陽気な音楽とともに
一見荒唐無稽に見えることが堂々と起きるところ
先日観た最新のインド映画にも
民話の精神がしっかりと
引き継がれているように思いました。
ちなみに「ランパンパン」の言葉には
特に意味はないようです。