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一期一会の本と日常のおはなし

【はるのおとがきこえるよ】春を探しに行く絵本

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くまと手をつないだら、どんな感じ?

「はるのおとがきこえるよ」

ブロンズ新社 2015年2月 初版第1刷) 

文 マリオン・デーン・バウアー   

絵 ジョン・シェリー  

訳 片山令子

どんなお話…

春の音を探して

大きなくま少年

うさぎりすが森のなかを進んでいくお話です。

 

主人公の少年が眠りにつこうとしていると

外で不思議な物音がします。

 

それは、冬の終わりの夜のこと。

満天の星空の下

庭には残り雪が一面広がって、まだ寒そうです。

 

物音が気になった少年がガウンを着て

玄関の扉を開けると、そこには

茶色の大きなくまが立っていて

少年に向かってこう言いました。

「もうすぐ くるよお。いっしょにいこう」

文章の魅力を…

主人公の少年のことを「きみ」と呼ぶ文章。

まるで読者に語りかけているように感じられます。

 

読者は自分が「きみ」と呼ばれているような

気持ちになって、絵本の中へ入っていきます。

 

くまと腕を組んで

森の中を春の音がするほうへ歩いているのは

実は絵本を読んでいる「きみ」=読者なのかも。

 

多彩な音の表現も楽しく響きます。

コツン コトン コツコツ ガリガリ 

バリバリ パリン パクン パン…

これは一体なんの音でしょう?

イラストの魅力を…

冬の終わりの

まだ静かに眠っている森の雰囲気から

すべての命が輝く春の訪れの場面を

ページをめくるごとに

遠景でみたり思いきり近づいて感じたり。

 

すこしずつ変化する様子が

細やかで優しいイラストで描かれています。

 

大きなくまにちょっとドキドキするシーンや

小さな小さなヒナ鳥が卵から孵るのを

少年とくまたちが

興味津々な瞳でのぞき込むシーンに

思わず頬が緩みます。

 

読者はいつの間にか絵本の中にいて

冬から春へ

静から動へ

くまやうさぎたちと一緒に

ワクワクしながら

春の音を探しているのに気がつくでしょう。

今こうして部屋の中にいても

ふと、耳を澄ましてみると

私にも何か春の音が聞こえそうです。

 

もし満天の星空の夜に

くまが迎えに来てくれていたら

風邪を引かないように上着を着てから

一緒に春を探しに行ってみませんか。

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