一段と寒くなりました。冬の訪れがすぐそこに。いつもの川辺に白鳥がやって来ました。
「ペンギンのこまりごと」(化学同人 2021年9月 第1刷) 作 ジョリ・ジョン 絵 レイン・スミス 訳 岡野 佳
どちらが表紙だかわからないような絵本。
こういう本もあるんだ、面白い。
鳥類で二番目に(たぶん)好きなペンギンの絵本です。読んでみよう。
どんなお話し…
一羽のペンギンが、小山のようにこんもり積もった雪の上で仰向けに寝ています。
このペンギンには困りごとがいっぱいあるようです。
「まだねむいのに もうあさ」
「くちばしは つめたいし、」…
ペンギンの心の中からは、つぎつぎに困りごとが出てきます。
感じたことや気になったこと、それが楽しいことじゃなくても、自分の心をことばにし、確かめて受け止めていく。
ときには、誰かの意見にも耳を傾けてみる。
また同じことを思ったって全然構わない。感じたら、ことばにして、確認して、受け止めて、誰かの話も参考に、そうかもって思ったり思わなかったり。
繰り返し繰り返し…
ペンギンさん、私もペンギンさんと同じ、ずっとそんな感じです。
著者について…
文:ジョリ・ジョンは、アメリカの小説家、ニューヨークタイムズ紙のベストセラー作家。子どもから大人向けまで幅広い作品を発表しています。ブラックユーモアを取り入れたり、難しい題材を扱って作品にしています。
声に出して読みたい絵本に贈られるE・B・ホワイト・リードアラウド賞を2度受賞。
本書の文章も、ペンギンさんがお喋りしている(ぼやいている)スタイルです。読み聞かせや、子どもに読んでもらってもよさそうです。
ペンギンの困りごとに一言ご意見するのは「セイウチ」のおじいさん。ちょっと反発心を覚えるペンギンですが、気持ちを変えるきっかけになります。
身内から言われるとおもしろくないことも、赤の他人から言われると素直に聞けることってありますよね。
絵:レイン・スミスは、1959年生まれ。アメリカのイラストレーターであり児童書の作家。さまざまな画材を使い、その作品に最適なユーモラスで真面目なイラストを描いています。「こどものなかま」でケイト・グリーナウェイ賞、「くさいくさいチーズぼうや&たくさんのおとぼけ話」でコールデコット賞オナー賞を受賞。
本書の物語も、この絵なしでは成り立たないと思います。コミカルでどこかとぼけていて愛嬌たっぷりのペンギン。落ち込んだりびっくりしたり、感情豊かに描かれています。
本物に、似てないと思っていたら、やっぱりそっくり。