hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【ごんべえだぬき】らくごえほん

当ブログではアフェリエイト広告を利用しています

人気落語の絵本版。

「ごんべえだぬき」らくごえほん 

KADOKAWA 2020年2月 初版) 

作・絵 川端誠

どんな絵本…

落語には詳しくないので

少しネット検索をしてみました。

権兵衛狸」という演目で

明治のころから現在に至るまで

多くの落語名人によって演じられている名作噺です。

上方では「とんとん権兵衛」とも題されています。

 

噺の内容も

狸が人を化かすという大筋は同じですが

権兵衛さんの職業が床屋であったり渡し守であったり

(ただしお百姓さんと兼業なのは一緒)

最後のオチもやや違ったものがあります。

 

本作は

そんな長い間愛され続けている

落語「権兵衛狸」を底本に

権兵衛さんを困らせはしますが

どこか愛嬌があって憎めない子だぬきの

いたずらとその結末

素朴なイラストとともに表現しています。

どんなお話…

権兵衛さんが寝ようとすると

ドン、ドンと家の入口の戸を叩く音。

ごんべえ、ごんべえ」と

外で誰かが呼ぶ声がします。

 

「だれだろう」と戸を開ける権兵衛さんですが

そこには誰もいません。

そんなことが何度か続いて、権兵衛さんは

ははぁ、たぬきだな」と思い至ります。

 

そこで権兵衛さん

狸が頭で戸を叩くことを知っていたので

音がした途端に戸を開けると

予想通り子だぬきが転がり込んできました。

 

落語に登場する動物で

犬や猫に続き狐や狸が多いのだとか。

狐に比べてちょっと間抜けなところもあるのが

狸の特徴のようです。

 

本作でも

いたずらしようとして権兵衛さんに捕まり

狸鍋にされそうになってしまいます。

焦る子だぬきの表情が

愉快なイラストで描かれています。

 

権兵衛さんの恩情で

顔の毛を剃るお仕置きで済んだ子だぬきですが

再び権兵衛さんの家の戸をドンドン。

「今度は許さないぞ」と戸を開けた

権兵衛さんの前に現れた子だぬきがお願いしたのは…

本作の見どころは…

正面から見た角度で描かれたイラストが

お芝居を見ているような感覚になって面白いです。

 

また、絵本ならではの楽しい仕掛けとして

落語の噺のオチのさらに先をいくオチが

裏表紙に用意されています。

別人(別狸?)のようにスッキリとした

子だぬきを最後までご覧くださいね。

著者のプロフィールも…

川端誠さんは1952年新潟県生まれの絵本作家。

第5回絵本にっぽん賞を受賞した「鳥の島」や

「お化け」シリーズ「果物」シリーズなど著書多数。

絵本作家ならではの絵本解説も好評だそうです。

 

こちらは立川談志さんの「権兵衛狸」

独特の語り口が癖になるかも、よろしければこちらも。

www.youtube.com