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一期一会の本と日常のおはなし

【おさらを あらわなかった おじさん】題名そのまんまの絵本

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洗わないとどうなるの?

「おさらを あらわなかった おじさん」

岩波の子どもの本

岩波書店 1978年4月 第1刷) 

文 フィリス・クラジラフスキー  

絵 バーバラ・クーニー  

訳 光吉夏弥

どんなストーリー…

題名そのまんまのお話です。

 

どこにでもいるような

ひとり暮らしのおじさん

 

料理は大好きなのですが

洗い物がとにかく面倒になって

 

ひたすらお皿を洗わずにいたら

どうなっちゃったか⁈

というお話。

 

完全にジャケ買いならぬ

図書館でタイトル借りです。

 

着想といいストーリー展開といい

なぜ

どうして

こういうお話を思い付くのか

ということがまず頭に浮かびました。

 

特別な事件は何も起こりませんが

先がどうなるのか

気になって仕方がなくなる

ユニークでユーモラスな絵本です。

 

イラストは黒をベースに

赤と緑の三色だけで表現されています。

 

おじさんのお皿だらけの家や

 

なんにも言わないけど

いつもおじさんのやることを

そばで見ている黒猫が

 

軽快で明るく楽しく描かれていて

物語にぴったりです。

作者について…

本書に添付されていた

訳者光吉夏弥さんの説明文に

〈なぜこういうお話を思い付いたのか〉

そのヒントが書かれていました。

 

1926年にニューヨークのブルックリンで

生まれた作者フィリス・クラジラフスキーさんは

子どもの頃から母親の影響を受けて

ものがたりを書いていたそうです。

 

本書「おさらをあらわなかったおじさん」は

作者が19歳の時

ガンで死にかけていた男の子のために描いたもので

たくさんのお話の手紙のなかでも

その子がいちばん好きだったものだそうです

とありました。

作者の信条は

子どもたちには明るい笑い

 

特別なことは起こらないのに

お腹の奥から笑いがこみあげてくるような

おかしみのある楽しい本書は

 

そんな作者の思いやりのある

温かい心から生まれてきた

素敵な作品です。