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一期一会の本と日常のおはなし

【おもちゃ屋のねこ】大の猫好き作家さんの童話

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猫はいつでも突然に。

おもちゃ屋のねこ」

徳間書店 2022年5月 初版)

作 リンダ・ニューベリー 

訳 田中薫子  

絵 くらはしれい

この作品は

猫好きの作家さんによる

猫好きの方のためのお話。

(そうでない方も読んでみてほしいです。)

まずは著者のプロフィールから…

作者のリンダ・ニューベリーさんは

1952年イギリス、エセックス生まれ。

8歳のころから作家になりたいと

物語を書き始めます。

国語の教師をしながら

作品を出版社にもちこむようになり

1988年にYA小説でデビュー。

 

大の猫好き

本書を書く前にも

〈氷のねこのお話〉

まぼろしの猫のお話〉

〈名前がふたつあるねこのお話〉

を書いています。(日本語版は未訳)

 

作者はお友だちに勧められて本書

お店のねこのお話〉を書くことに。

最初思いついたのは本屋でしたが

思い直しておもちゃ屋したそうです。

 

クマやウサギのぬいぐるみや

小さな手作りヨットや観覧車

そんな昔ながらのおもちゃが

お店の棚という棚に所狭しと

飾られているおもちゃ屋さんです。

どんな物語…

ある日突然ふらりと、その猫は現れます。

 

気がついた時には

おもちゃ屋のショーウインドウの中で

すやすやと眠っていました。

 

テオおじさんのおもちゃ屋

その猫を見つけた少女ハティ

すぐにその猫のとりこになってしまいます。

 

その猫は

鮮やかな明るい緑色の目をした

べっこう色の毛並みの

小さくて賢そうな女の子。

 

ハティは大好きなその猫に

クルリン」という名前を付けました。

 

クルリンはどこから来たのでしょう。

 

ハティだけではなく

テオおじさんもハティのお母さんも

訪れるお客さんたちもみんな

クルリンに夢中です。

 

そしてクルリンが来てからというもの

テオおじさんのおもちゃ屋では

不思議なことがつぎつぎに起こります。

 

ハティはクルリンが

不思議なことを連れてきたようにも

何もかも知っているようにも感じます。

 

次第にハティは

クリリンと家族になりたい

自分の家で一緒に暮らしたい

思うようになるのですが…

おもちゃ屋にときどきやって来て

何も買わずに帰っていく年配のご夫婦がいたり

 

ハティが心配になるほど商売っ気のないテオおじさん

 

そこにいるだけでお客さんを呼び寄せるクリリン

 

魅力的なキャラクターたち

人と人、人と猫の

優しく温かい交流

ほんのりミステリアスに描かれています。

 

ハティが自分の気持ちだけでなく

テオおじさんや

大好きな猫のクリリンにとって

なにが一番良いことなのかを考え

決断するすがたが

とても爽やかに感じました。