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一期一会の本と日常のおはなし

【小さな手】ホラー短編集4

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怖くなって休み休み読みました。

「小さな手」ホラー短編集4

岩波少年文庫 627

岩波書店 2022年1月 第1刷) 

編訳者 金原瑞人  

画家 佐竹美保

この本は…

8人の作者によるホラーの傑作短編集です。

そうそうたる顔ぶれによる

初訳、新訳多数のオリジナル本です。

  1. 猿の手」 W・W・ジェイコブズ ☆クラシックホラーの名品 
  2. ミリアム」 トルーマン・カポーティ ☆代表作は「ティファニーで朝食を
  3. 月明かりの道」 アンブローズ・ビアス アメリカ代表する短編の名手
  4. 五本指の獣」 W・F・ハーヴィー ☆本作品の結末は二つある
  5. 首を脇に抱えて」 ブルース・コウヴィル ☆教師や販売員や墓堀り人の職歴
  6. 死体泥棒」 ロバート・ルイス・スティーヴンソン ☆代表作は「宝島」「ジーキル博士とハイド氏」
  7. 小さな手ーペティットおばさんの幽霊話」 アーサー・キラークーチ ☆オックスフォードとケンブリッジで教鞭
  8. 子どもたち」 ラドヤード・キプリング ノーベル文学賞受賞作家

目にとまったので、たまにはホラーも

読んでみようかと思ったのですが。

 

あの「ティファニーで朝食を」の作者

カポーティさんも書いているので

どんなものかと興味を持ちました。

しかし…

寒い時はやめておけばよかった。

もっと暑い時に読めばよかった。

 

最初の2編を誰もいない寒い夜に読んだら

いっそう肌寒くなったので

以降は昼間人けのあるところで読みました。

感想を…

今この時だからこそ、の私のお薦め作品は

首を脇に抱えて」。

死体が主人公、しかも首を切り落とされたので

その首を自分の腕に抱えて活躍するお話です。

 

この作品の死体は怖くなかった。

むしろ怖いのは生きている人間のほうでした。

 

この主人公の死体は

生きている時、平和を望んでいました。

そして平和を望んでいたために

自分の国の王に処罰されました。

 

主人公を死体として復活させたのは怒りです。

無駄な戦いで国民を不幸にする王を懲らしめるため

墓場から首を抱えて立ち上がります。

読後の瞬間はとてもスカッとしました。

もうひとつのお気に入りは

表題作の「小さな手

イギリスのとある閑静な田舎の屋敷で

「手」が引き起こす不思議な出来事。

こんな「手」なら私の家にも表れてほしいような。

一家に一台ならぬ一家に「小さな手」の

優しさを感じるホラー作品です。

訳者のあとがきより…

訳者金原瑞人さんのあとがきを読むと

私の選んだ2作はどちらも

ホラーとしては軽い感じの作品とのこと。

やっぱり怖がりの私には

このくらいが適当ってことでしょうか。

 

それはさておき、訳者によると

猿の手」は英語圏の短編の傑作で

短編小説の見本のような作品だそう。

べた褒めです。また

月明かりの道」の作者アンブローズ・ビアズは

芥川龍之介も大ファンだったそうで

この作品を基に「藪の中」を書いたのだとか。