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一期一会の本と日常のおはなし

【アリューシャン・マジック】あべ弘士さんの絵本

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北極、行ったことありますか。

アリューシャン・マジック」

(のら書店 2022年10月 初版)

作 あべ弘士

この絵本は…

絵本「あらしのよるに」の作者が描く北極

アラスカ沖・アリューシャンで繰り広げられる

ダイナミックで幻想的な生き物たちの競演。

どんなお話…

ある春のおわりの日に

ラッコのぼうやに招待状が届きます。

 

ママのおなかに乗ったラッコのぼうやが

海に漂いながら受け取った招待状の送り主は

ポーラマン

ポーラマンは北極一番の手品師です。

 

夏至の夕方

北極・アリューシャン島で

すごいマジックショーを見せるので

来るようにと書かれています。

入場料はヒトデを七つ。

ラッコの母子が訪れると

シロクマやトドやキツネたち

ほかの動物たちも

流氷のうえに乗って続々と集まっていました。

 

そこへ真っ白で不思議なかたちのポーラマンが

エッヘン。オッホン。

咳払いをしながら登場。

意外と小柄です。

イチョウの葉のような形をした

不思議なものを持っています。

これが魔法のつえ?

 

春のおわり、アリューシャンの山肌は

ところどころに

鳥や獣や魚に似た形に白い雪が残り

まるで雪が生きているかのように見えます。

その風景だけでも充分ダイナミック。

 

そこではじまるマジックショーは迫力満点です。

シュルリーン、パッ。

ポーラマンが何か黄緑色のきらきらを

海に向かって振りまくと

北極の山々を蔽い隠すように

巨大な黄緑色のオクトパスが現れました。

 

八本の長い足が空をうねうねと

うめつくしてしまいます。

するとその長い足の大きな吸盤から

無数の小さな魚たちが飛び出してきました。

 

お見事です。

つぎのマジックは…

 

ページをめくるたびに

めくるめく幻想の世界が広がります。

ショーのしめくくり

深い藍色の山肌に表れた

生き物のような真っ白な雪も

その姿を海面に映した影も

今にも動き出しそうです。

星も光もすべてが一体となって

観客たちに迫ってきました。

作者について…

作者のあべ弘士さんは1948年北海道生まれ。

旭山動物園飼育係として25年間勤務。

絵本「あらしのよるに」や「ゴリラにっき」

ハリネズミのブルブル」シリーズなどで

数々の賞を受賞しています。

 

本書の作者のあとがきを。

ある年の春の終わり、私はカムチャッカ半島からアリューシャンをめざしていた。

この時期、北太平洋海域にはプランクトンが大発生し、生き物たちがそれをねらって、地球上から集まって来る。

それはあたかも、マジシャンがくりひろげるマジックショーだ。

私は旅人だ。旅は地球のふしぎを教えてくれる。わかい人たちにも、それを体験してほしい。