アメリカからやってきた本の応援本。
「ほん book」
(子どもの未来社 2022年10月 第1刷)
作:デイビッド・マイルズ(David Miles)
絵:ナタリー・フープス(Natalie Hoopes)
訳:上田勢子 堀切リエ
「本」について…
子どものころからの本好きとしては
残念なことですが
本を読まない人が増えていると言われている昨今。
「活字離れ」「読書離れ」
ネットによる電子書籍の普及によって
「紙の本が売れない時代」…
ある国内の読書調査では、約半数の人が
一日にまったく本を読まないのだとか。
実際の書店店舗数も年々減少しています。
昨年私の住んでいる地域でも
長年の営業に幕を閉じた老舗書店がありました。
本書の原本はアメリカの作家の方が
2015年に出版したもの。
日本だけでなくアメリカやほかの国でも
同じような状況なのでしょうか。
どんな絵本…
この絵本は
とてもわかりやすい短いことばと
美しく繊細で幻想的なイラストで
本の良いところをたくさん伝えてくれます。
はじまりの数ページは、真っ白な紙
その中央にポツンと小さな文字で
短い文章があるだけ。
徐々に文字が大きくなって
白い紙に大きな「よく、みて」の文字。
次のページを開くと…
そこは色どり豊かな
見たことのない不思議な風景の別世界へ。
本の中の美しい想像の世界を
ひとりの少年が旅するように進んでいきます。
ときには歩いて、ときには空飛ぶ本に乗って。
なにかを知りたくなったときや
友だちがほしいとき
そしてひとりになりたいとき
本はいつでも助けてくれる。
本にはオン・オフのスイッチもなければ
パスワードもいりません。
もちろんウイルスに感染することも
バッテリーがなくなることもないので
いつでもどこでも
物語の世界を楽しむことができる…
そんな当たり前だけどステキなことを
優しくて魅力的なイラストとともに
伝えてくれる絵本です。
作者について…
作:デイビッド・マイルズさんは、本書の紹介文によると
…本づくりが仕事で、日々、本を読み、本を書き、本を売り、本を棚に並べ、本について考え、運転の合間に本を見て、本を読みながら眠り、本を見て料理をする。…
という本まみれの方です。
絵:ナタリー・フープスさんは、
…生まれたときから頭の中がワイルドなアイデアでいっぱいで、それを表現するには画家になるしかないと決心した。…
と同紹介文にあります。
夫と、あふれるくらいの本に囲まれて暮らしているそう。
本書でも
お伽話の国の不思議な生き物たちや
空に浮かぶ可愛らしい屋根の家々が
読者を想像の世界へ
一息で連れて行ってくれることと思います。
この絵本が入口になって
本の世界を訪れる人が増えますように。