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一期一会の本と日常のおはなし

【いのちの水】ブルガリアの昔話

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霙降る冷たい朝ですが、農作物にとっては恵みの雨かも。

「いのちの水」ブルガリアの昔話 

世界傑作絵本シリーズ

福音館書店 2022年4月 初版)

再話 八百板洋子  

絵 ベネリン・バルカノフ

どんな物語…

王様とその息子の三人の王子が登場します。

 

ヨーロッパのお城や衣装がロマンチックです。

 

ほかにも登場するキャラクターは

銀色のドラゴン母子

銀色の魚

大きな翼を持つ金色の鳥

金色のドラゴン

そして

大理石でできたお城にすむ

美しい水の精

 

やっぱりヨーロッパの香りがします。

 

日本の昔話とは趣きの違う

鮮やかな水色やピンク色が要所に使われ

夢の世界のようなシーンもあります。

 

テーマは「永遠の命

今も昔も

もし本当に手に入るなら

欲しいと願っている人は必ずいるはず。

 

年老いた王様が

永遠の命を授かるという水

三人の王子に探すよう命令するところから

物語ははじまります。

 

こういうお話の中で

兄弟が三人仲良く探す、というわけには

なかなかいかないようです。

 

三人は別々の道を進みます。

一番困難な道を自ら選んだのは

誠実で心優しい三番目の王子です。

ブルガリアについて…

日本ではブルガリアといえばヨーグルトですが

豊かな自然を生かした

バラやワインの産地としても有名です。

 

バルカン山脈のふもとには

バラの谷」と呼ばれる

世界各地で香料として使われる

バラの産地があります。

 

本書で使われている鮮やかな赤やピンクの色

このブルガリアを代表する花「バラ」の色でしょうか

 

またブルガリアは長い歴史のある国です。

首都ソフィアはヨーロッパで最古の都市のひとつ。

 

豊かな自然を持つ国だけに周囲の国から

数々の侵略や侵攻を受けてきました。

その激動の歴史の中でもブルガリア人として

独自の文化を守り抜いてきました。

 

昔話も、歴史の影響を受けて

ほかのヨーロッパのものとはひと味違う

東西文化の様々な要素がまじりあっています。

ふたたびこのお話について

再話者の八百板洋子さんのエッセイによると

ブルガリアは水の豊かな国でもあります。

 

このお話は八百板洋子さんがブルガリア

バルカン山脈の山あいの町、ベルコ―ヴィッツァで

現地の語り手から直接聞き取って再話したもの。

 

そのベルコ―ヴィッツアの町も水が豊か

薄紅色の大理石でできた建築物がいたるところにあり

あちこちで鉱泉が湧き出ているそうです。

 

水がテーマであり

薄紅色の大理石もでてくるこの昔話は

その土地にしっかり根付いた特徴を

表現しているものでもあります。

 

さて三番目の王子はいのちの水を見つけ

無事に王様に届けられるのでしょうか。

美しい水の精との愛はどうなるでしょう。

それは読んでのお楽しみに…

 

この物語は、昔話のなかでもブルガリア人に

特に人気のあるお話です。