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一期一会の本と日常のおはなし

【世界で一番の贈りもの】クリスマス休戦の絵本

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今日の本の題名「世界で一番の贈りもの」、何だろうと気になって読み始めました。

「世界で一番の贈りもの」

(評論社 2005年11月初版) 

作 マイケル・モーパーゴ  

画 マイケル・フォアマン  

訳 佐藤見果夢

 

クリスマス休戦」をご存じですか。

 

1914年、第一次世界大戦のただなか、

クリスマスの日、その一日だけ

戦場の最前線のイギリス軍とドイツ軍の間で

自然発生的に生まれた非公式の休戦のことです。

 

軍の公式記録は存在しませんが

兵士たちがさまざまなかたちで、

クリスマス休戦のエピソードを

家族や友人に伝えています。

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この絵本のストーリーは…

 

クリスマス・イブの日、

ブリッドポートのがらくた屋で見つけた

アンティークの机の引き出しから

一通の古い手紙を見つけた青年。

 

好奇心が良心に勝り手紙を読むことに。

宛名は

「ドーセット州ブリッドポート、カッパー・ビーチ12番地ジム・マクファーソン夫人」

 

鉛筆書きの書き出しは、

「1914年12月26日、いとしいコニーへ」

 

差出人はイギリス軍将校のジム。

この手紙は

ジムが妻コニーにあてた最後の手紙でした。

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その手紙には、クリスマスの日、

ドイツ兵の掲げた白旗からはじまった

奇跡のような休戦の一部始終が

驚きと感動と共にしたためられていました。

 

武器の代わりに酒瓶を手にしたドイツ兵たちと

それに応じるイギリス兵たちは、

お互いを隔てている無人地帯で

ラム酒とソーセージでクリスマスパーティー

 

だれかが持ち出したサッカーボールで、

サッカー試合がはじまり…

 

その夜、それぞれの地下壕からは

お互いの歌声に応えるように

クリスマスキャロルが歌い続けられました。

クリスマスの日、

戦地に訪れたつかの間の奇跡のような平和。

思いやりに満ちた、心温まる時間…

 

信じられないような出来事ですが、

クリスマス休戦は実話

 

どちらの兵士も、ひとりひとりは普通の人、

家族がいて、友人がいて

仕事を持ち、趣味を楽しみ、笑い語り…

この物語には続きがあります。

手紙を読んだ青年は、コニーさんに手紙を届けるため手紙の住所へ向かいます。すると…

 

戦争の悲惨さと夫婦の深い愛情が胸に響きます。

 

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このクリスマス休戦をテーマにした作品は、

さまざまな方によって書かれています。

その中で、本書のひとつの特徴は、

とても小さい本であること。

片手のひらに乗せられるサイズです。

 

まるでジムからの手紙を

そのまま読んでいるような感覚。

 

その時間がどれほど温かく

思いやりに満ち人間的であったか、

手紙を抱きしめたいような気持ちになりました。

今年、2022年は、

今年の漢字に「戦」という文字が選ばれました。どうぞ来年は、

決してこの文字が選ばれませんように。