hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

読んだらきっとぬくぬくします。

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朝の気温が一桁台になると布団から出るのに一苦労します。ずっとぬくぬくしていたい。

「ぬくぬく」(福音館書店 1980年1月月刊「こどものとも」発行 2021年1月第3刷特製版) 作 天野祐吉  画 梶山俊夫

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お話の内容は…

まず、これだけは言っておきたいです。これから寒い寒い冬に向かうこの季節、こちらの絵本は、チョーおススメです。こういうお話し、こういう絵、待ってました!

あくまで私見ではありますが、だまされたと思って読んでみてください。

 

さて…

むかしむかしの日本でしょうか、車もビルもなかった、電気水道ガスなしの遠い昔の田舎を感じさせる山あいでのこと。

 

あるところに寒がりの妖怪が住んでいました。

 

表紙の女の子は、その妖怪ではありません。妖怪が、物語の後半で出会う重要人物です。

 

お話しの冒頭から、物語の世界にぬくぬくと引き込まれます。

 

こんなふうにお話しははじまります。

さむがりの ようかいが いた。

からだに いっぱい わらを まきつけ、

「ぬくぬく、ぬくぬく」と つぶやきながら、

やまのなかを あるきまわった。

いかがですか、もう「ぬくぬく」してきませんか。

 

お話しのぬくぬく感を後押しする、素朴でユーモラスな絵。

山の上空や谷間を、いつも奇妙で愛嬌のある赤い鳥が飛んでいたり。

妖怪のすがたも、恐ろしさは微塵もなく、なんならだれでもできるファッションスタイル。その性格も態度もどこか遠慮がち。とっても控えめタイプな妖怪です。

 

鳥獣戯画絵巻の実物を目の当たりにして、感銘を受けたことで絵本制作に携わることになった画家らしい作風です。

 

 

作者と画家について…

作者天野祐吉は、1933年東京都生まれ。コラムニストであり、雑誌「広告批評」主宰者、マドラ出版社主。1984年から2013年まで朝日新聞にコラム「天野祐吉のCM天気図」を連載。TV「報道ステーション」や「筑紫哲也のNEWS23」に出演。著書多数。2013年逝去。

 

画家梶山俊夫は、1935年東京都生まれ。画家、絵本作家。1967年、鳥獣戯画を素材とした「かえるのごほうび」のレイアウトを手がけたことをきっかけに、絵本制作の道へ。1973年「かぜのおまつり」、1997年「みんなであそぶわらべうた」でブラチスラヴァ絵本原画展金のりんご賞を受賞。著書多数。2015年逝去。

 

長く連載されていた朝日新聞のコラム、私も読んだ記憶があります。鋭い批評のなかにも、どこかユーモアがあり読む楽しみがありました。この絵本にも、そんな作者のユーモアある言葉が詰まっています。