12月に入りました。周りからは「今年も一年早かった」の声が。みなさんは?
「アイスクリームの国」(みすず書房 2000年11月 発行) 文 アントニー・バージェス 絵 ファルビオ・テスター 訳 長田 弘
タイトルで読む本を選ぶことも多く、今回も美味しそうかなと思って選んだ本です。
絵本は、たいていのものが短時間で読めるので、そういう冒険的な選び方もまた楽しみのひとつ。
タイトルで想像したものと全然違うストーリー展開のこともしばしば。これも面白さに繋がっています。
さて、好きな甘いものの3本の指に入るアイスクリーム。冷たいのに、暑い日でも寒い日でも美味しいスイーツ。
アイスクリームを題材に、こんな不可思議なストーリーを思いつく方がいるとは。
どんなお話し…
だれもが「そこ」にあるといいました。しかし、「そこ」というのは、どこ?
こんな風に物語は始まります。
どこにあるかはわかりませんが、「そこ」の絵を見ると…これはアイスクリームの山脈の絵のようです。それぞれの山には名前がついています。
バナナフロス、モンテ・ピスタチオ、ココナツ・クレスト、ミント・フロストマウンテンなどなど、どれも魅力的な山々です。
ある日、ひょんなことから、ジャックとトムとぼくは、「そこ」を目指して旅にでることに。「そこ」とは、なんと野生のアイスクリームの国のこと。
三人は、分厚い防寒着を身につけて飛行船に乗り込み「そこ」へ向かいます。この物語は、アイスクリームの国の探検日記です。
とにかくスケールの大きいアイスクリームの国。そしていろいろな種類のアイスクリームが登場します。
アイスクリームの国のイラストは、カラフルな北極的風景です。ものすごく寒そうなので、ここまでくると美味しそうというよりはお腹壊しそう?
見開きの紹介文にもありますが「ポップで、キュートで、ナンセンス」なこの物語、こたつでミカンならぬアイスクリームをなめながら読んでみてはいかがでしょう。
著者について…
文:アントニー・バージェスさん(1917ー1993年)は、イギリスのマンチェスター生まれの作家。
多くの方が一度は聞いたことがあるであろう「時計じかけのオレンジ」を書いた方。どなたかのブログを読むと、けっこう恐そうなあらすじ。
全く雰囲気の違う本書は作者の別の一面が見えると思います。
絵:ファルビオ・テスターさんは1947年、アイスクリームの国イタリア・ヴェローナ生まれの画家。
子ども向けの本のイラストから得た水彩画の技法で、現在は哲学的なテーマを込めた心象風景を描いています。本書のイラストもよく見ると哲学的…かも?
今年の画家のインタビュー記事も参考に。