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一期一会の本と日常のおはなし

【三匹の犬の日記】与謝野晶子さんのお正月絵本

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明治のころのお正月の絵本です。

「三匹の犬の日記」

(架空社 2007年3月初版) 

作 与謝野晶子  

絵 つよしゆうこ

 

作者は与謝野晶子さん

絵はのちに

つよしゆうこさんが描きました

 

どんなお話し…

物語はこんな風にはじまります。

(この絵本、縦書きです。)

   正月元日夜が明けた。

  起きよというのに起きないか。

 太郎さんがこう歌いながら犬小屋の戸を開けに来ました時、

三匹の小犬が嬉しそうにおどり上がって、

「わんわん、太郎さんおめでとう、わん、わん。」

と声を揃えていいました。

 

正月元日の出来事です。

三匹の小犬は太郎坊ちゃんの家の犬たち。

赤いリボンをつけた「(くろ)」

青いリボンの「(しろ)」

そして、水色のリボンの「ぶち

リボンには新しい鈴がつけれてれいます。



太郎さんは御年始の挨拶に出掛ける前

三匹の小犬に

好きなことをして遊び

夕方には家に帰って

日記をつけるように言い残しました。

 

三匹は一体どんな日記を書いたのでしょう…

 

 

電車に乗ったり

浅草の雷門や仲見世を歩いたり

花屋敷であやつり猫にびっくりしたり

三匹のお正月のお出掛けは

華やかで楽しそうです。

 



つよしゆうこさんの絵は近年描かれたものですが

与謝野晶子さんが文章を書いた明治の時代を感じさせる

どこか懐かしい情景を

優しいタッチで表現しています。

 

細い黒インクで描かれたような線と

柔らかい筆遣いに淡い色合いの水彩画が、

子どもの描いた絵日記のようにも見えます。

 

お正月に相応しいのどかな一日が語られています。

 

著者について…

作者の与謝野晶子さんは

1878年(明治11年)現在の大阪府で生まれた近代日本を代表する歌人

みだれ髪」や「君死にたまふことなかれ

中身を読んでいなくても

タイトルを知っている方、多いのでは。

1942年(昭和17年)に63歳で亡くなられていますが

のちにその人となりや作品について

沢山の書籍が出版され、ドラマや映画化されています。

 

本書の文章には

今とは違った明治のころの雰囲気を感じることができ

この絵本の魅力のひとつとなっています。

 

画家のつよしゆうこさんは1961年兵庫県生まれ。

京都精華大を卒業し

銅版画工房「アトリエ凸凹」などで創作。

エッチング、ドローイング等の技法で

ナイーブでユーモアのある作品を発表。

現在も活躍中で、近著に絵本

「ふたごのかがみ ピカルとヒカラ」

(文:高山なおみさん)があります。

明治の香り漂う文章と絵で

見かけもやることも

あどけなくてひょうきんな

三匹の小犬のお正月を見てみませんか。