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一期一会の本と日常のおはなし

ウクライナの昔話

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この冬目指すのは、電気の節約。とても暖かそうなふかふかの猫用ベットを見つけて足温用に使っています。にゃんこさん、ゴメンナサイ(。-人-。) 

「わらのうし」(福音館書店 1998年9月発行) 文 内田莉莎子  絵ワレンチン・ゴルディチューク

 

 

どんなお話し…

ウクライナは昔話の宝庫だそうです。

この物語「わらのうし」は、そのなかでもウクライナの人々に最も愛されている昔話。

英語の題名は「MAGIC STRAW CATTLE」(魔法のわら牛)。突拍子もない魔法のようなことが起こる物語です。

 

物語のはじまりは、

あるところに おじいさんと おばあさんが いました。

日本の昔話でも、よく聞くことばです。

 

ふたりはとても貧乏で、おじいさんはタールを作り、おばあさんは糸を紡いでやっとのことで暮らしています。

柴刈りには行かず、おじいさんはタール作りをして生計を立てています。

タールとは、石炭、木材、動物の骨などから作られる粘り気のある黒い液体です。

ウクライナでは、タール作りが一般的なのでしょうか。

 

なぜかおばあさんは、ある日突然おじいさんに、わらでできた牛を作ってその横腹にタールを塗ってほしいと頼みます。

そこからおかしなことがはじまるのです。

 

わらのうしは、普通に歩ったり喋ったりします。そしてなぜか大活躍します。

 

お話しの展開は、素朴で素直でハッピーな成り行きです。

私は最後わらのうしがちょっと可哀そうでしたが、気にしない人は気にしない程度のことです。

おばあさんの突然の発想とおじいさんとのチームワークが、つぎつぎ幸運をもたらす物語、愉快に読める絵本です。

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( わらとうし… )

著者について…

文:内田莉莎子さん(1928-1997)は東京生まれ。大学を卒業後ポーランドに留学。数々の外国児童文学・昔話・絵本を翻訳し、紹介しています。主な訳書に「てぶくろ」「おおきなかぶ」「ピーターラビットのてがみの本」など多数。

 

絵:ワレンチン・ゴルディチュークさんは、1947年ウクライナの首都キ―ウ生まれの画家。大学で学んだ後、ソ連芸術アカデミーの創作アトリエで学ぶ。ウクライナ内外で高い評価を得、作品はモスクワのトレチャコフ美術館やキーウのナショナル美術館などに所蔵されています。

 

日本での絵本の仕事は本書が初めて。この絵本は縦29×横31cmの大型本です。

この絵本の制作には長い時間がかかり多くの困難があったそうですが、その甲斐あってか、昔話の世界を独特の雰囲気で表現しています。

 

どこかの片田舎の、簡素な藁ぶき屋根の家、木を編んで作った柵。

ところどころつぎはぎのあたったくたびれた服を着たおじいさん、おばあさんの服は民族衣装を彷彿とさせる、袖に可愛らしい赤い花の刺繍入りの白いブラウスと茶色地に小花模様のロングスカート。足元はわらで編んだ草履のような靴。

表情や動きから、貧しいけれどおおらかなふたりの人柄が見て取れます。

 

そして、ダイナミックなアングルで描かれるわらのうしと動物たちの姿も、どこかユーモラスです。

ここもおススメ…

物語のおしまいの、ふたりの衣装にも注目してみてください。

いろいろあって、ハッピーエンドを迎えたふたり。

おじいさんはあんまり代わり映えしませんが、おばあさんはおしゃれ度が上がっていました。服も靴もショールも、グッとカラフルで豪華です。