田舎ならではの今夏の思い出。近所の道ばたでザリガニに遭遇しました。一度目は車で、二度目は徒歩で。どちらのときも、立派なハサミで威嚇された。ザリガニ、気が強し。でもたぶん私が勝つと思う。戦わなけど。ザリガニがんばれ。
「 てのなかのちきゅう 」(佑学社 1992年4月)作者 マイケル・フォアマン 訳者 原由子
どんなストーリー…
この絵本は、作者が
「子どもたちが自分たちの世界や地球のことについて、みんなと話し合うきっかけになるような絵本をつくろうと」試行錯誤し、構想から7年、
「宇宙や時間の果てしない大きさを感じる心を育み、そこに生きる小さな命を守りたい」という思いを込めて描かれました。
家族と訪れた海辺で、幼い息子たちが「岩場のしおだまり」に夢中になっている姿にインスピレーションを得たそう。
岩場のしおだまりは、地球の生態系の縮図だと作者は言います。
物語は、こんな言葉から始まります。
そらは ひとつ。
たいようも ひとつ。
つきも ひとつ。
そして ちきゅうも ひとつだけ。
水彩でしょうか、淡く透明感のある色彩で、美しい自然が描かれています。
太陽のひかり、月景色、夜のサバンナに浮かび上がる動物たち。
そして、物語は海辺のしおだまりへと向かいます。
幼い女の子とお兄さんが、しおだまりで遊んでいます。
波に揺れる海草や、イソギンチャクやさかなたちの美しさに魅了されたふたり。
小さなバケツの中にそれらを移し替えると、バケツが小さな地球のように。
太陽のひかりを受けて青い海にきらめく生き物たち、その美しさに見入るふたりの子どもが、生き生きと輝いて描かれています。
それから兄と妹は、しおだまりのなかに、別のあるものを見つけて…
地球の美しさと、その環境を守るためにはどうすればよいかを、この絵本は伝えてくれます。一緒に喜び、一緒に考え、身近なところで行動に移してほしいと作者は願っているのかもしれません。
この絵本が描かれてから、30年の月日が流れました。ますます環境を守るための意識が必要となった現在、もう一度この絵本を手にしてほしいです。
作者と訳者について…
作者は1938年イングランド東部ベイクフィールド生まれ。アートスクールで学んだ後、イラストなどの仕事をしながら絵本を創作。1983年に「ニョロロンとガラゴロン」でケイト・グリーナウェイ賞を受賞。
訳者は1956年横浜生まれ。サザンオールスターズの「原坊」さん。
「…子どもたちが大きくなったとき、あたりまえに『地球ってきれいだね』といえるように、そんな願いをこめて、この絵本を訳しました。…」(あとがきより)
今年10月、前作「MOTHER」から31年ぶりにオリジナルアルバム「婦人の肖像(Portrait of a Lady)」をリリース。
本書は、小さなお子さんの読み聞かせにもぴったりなことばで訳されています。「原坊」さんの、あの優しい声で私も読み聞かせをしてもらいたい。