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一期一会の本と日常のおはなし

今日は何の日?

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9月9日は、語呂合わせにちなんで「救急の日」とも言われています。

今日の一冊は、救急の日にちなんで

「よるのびょういん」(福音館書店 1985年 第1刷  2022年4月 第13刷) 作 谷川俊太郎  写真 長野重一

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絵本ではなく写真本です…

文章を書いたのは谷川俊太郎さん。どんなことを書かれているのか、作者に魅かれて手に取りました。初版から37年経っていますが、東京子ども図書館共同企画「いま、この本をふたたび子どもの手に!」という企画により今年また再版されています。

文章はすべてひらがな、小さな子供にもわかる平易な表現で書かれています。

物語は腹痛と高熱に苦しむ少年ゆたかが、救急車に乗って夜間病院へ運ばれるところからはじまります。静かなのに、あわただしく緊迫した病院の様子が、短く的確な文章と白黒で写された検査室や手術室の写真で表現されています。そして、ゆたかの手術が無事終わったところで締めくくられるまでの物語です。

モノクロならでは…

写真は昭和の中頃のもので、ゆたかの家のキッチンなど、その背景に写っている生活風景は、当時をご存じの方なら懐かしさ感じる古さがあります。

しかし、様々なアングルで切り取られた病院の様子は、今も昔も変わらないものを映し出しています。病院で働く医者や看護師とその仕事、真夜中でも働き続ける職員の姿は、モノクロだからこそ普遍性をもっていると感じました。

病院の存在が連日のように取り上げられる今日、病院でなにが行われているか、外側だけでなく内側を見ることができる貴重な本です。

具合が悪い時に連れて行かれる病院は「怖い」だけのイメージかもしれません。なんでもない余裕のある時にこの本を読んでおく。すると、病院の中やそこで働く医者や看護師が病気の人のために一生懸命朝も夜も働いていることを知って、本番が来た時に「怖い」が少し薄らいで見えるかもしれません。

ちなみに…

昭和の時代は、盲腸(虫垂炎)の治療は外科手術が広く行われていましたが、現在は抗生物質の開発などにより、内科治療でほとんどが完治するそうです。

物語中「ぶとうの種を食べると盲腸になる」とお父さんがいっていますが、迷信と言っているサイトが多かったです。ヨーロッパの古い言い伝えが元となっているらしい。と、検索したサイトをいろいろ見て回ったところ、「種が虫垂にはさまって炎症を起こすことがある」と書いてある病院のサイトもありました。どちらにしても食べすぎないようにしたほうがよさそう。

最後に、この本に登場する人物はすべて役者さんです。なかでも、病院に駆けつけるお父さんの迫真の演技が光ってました。

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