レモン色って見ていると元気になります。
「しろさんのレモネードやさん」(吉備人出版 2018年6月 第1刷) 文 松崎雅美 絵 矢原由布子 発案 榮島四郎「レモンちゃん」 川口蒼「レモネードゆうえんち」
また、知らないことに出会いました。
タイトルがおいしそうだったので手に取った絵本。
レモネードに、こんな意味が詰まっているなんて思いもよらず。
思うところあり、偶然とはいえ、この出会いに感謝を。
どんな絵本かな…
本書は実話をもとに書かれた絵本です。
この絵本ができたとき9歳の榮島四郎さん(絵本のなかでは「しろさん」)は、3歳で「子どもの脳腫瘍」という「小児がん」になりました。
大変な治療、手術・抗がん剤治療・放射線治療を乗り越え退院、今も治療を続けながら生活しています。
そんなしろさんが、たくさんの人に「小児がん」を知ってもらうために始めたのが「レモネード屋さん」です。
しろさんは、いろいろなところでレモネードスタンドを開いてもらいたいと考えています。
物語の続きは…
そんなしろさんに、ある日「レモネードゆうえんち」から招待状が届きます。
しろさんをお出迎えした「レモンちゃん」が、遊園地を案内してくれます。
そこは、病気の子もそうでない子も楽しめる遊園地!
画面いっぱいに、細やかに描き込まれた遊園地の見取り図はとても楽しそうです。
たくさんのレモンちゃんが、あちこちでみんなと遊んでいます。レモン色が爽やかで、心を明るく照らしてくれます。
その遊園地は、歩きやすいようにスロープがあったり、たくさん休憩所があり、お医者さんや看護師さんも近くにいてくれて、誰でも安心して楽しめます。
子どもたちが思い思いに乗り物にのったり歌を唄ったり、広い原っぱで遊ぶ姿がとても幸せそうです。
遊園地のパレードが終わったとき、レモンちゃんの後押しを受けてしろさんが、みんなにレモネードスタンドの話をしました。すると、みんながいっせいに協力してくれると言ってくれました。
レモネードスタンドについて…
本書には「レモネードスタンドのひらきかた」も詳しく載っています。
小児がんについての医師の解説もわかりやすいです。
榮島四郎さん本人の手書きのメッセージと父の英剛さんのコメントもあります。
日本では、毎年2000人から2500人の子どもたちが、小児がんと診断されているそうです。治療の進歩で多くの子どもたちが治るようになってきましたが、まだ治らない病気や治療後の重い後遺症もありこれからの課題となっています。
小児がんの新しい治療の開発や診療・研究の支援のための活動のひとつがレモネードスタンドです。