hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

幻想的な絵に浸る

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最近は夜になると、鈴虫の音色に癒されています。夜の闇に静かに響くオーケストラ。

今日の一冊は、

    「 蛾 姿はかわる 」   ( (株)化学同人 2021年10月初版 ) 文 イザベル・トーマス  絵 ダニエル・イグヌス  訳 青山 南

 

本作で語られること…

イギリスの小さい「ガ」”オオシモフリエダシャク”が主役です。日本では、ガはチョウと比べられることが多く、あまりイメージの良くない昆虫のように思います。しかし本作のガは、そんなことはありません。うすい色と濃い色の個体があり、進化における自然淘汰の例としてイギリスで有名なガです。

自然が多い1800年代はうすい色、1848年にはじめて濃い色を発見し、それから50年経った産業革命の時代は、大気汚染による環境の変化に適応して濃い色が増えました。現在は、濃い色もうすい色も見かけるそうです。

化学的なお話しを彩る画家の描いた絵、青と黒を基調に銀色を散りばめたような幻想的な世界が美しいです。

 

 

著者について…

イザベル・トーマスはイギリス生まれ。子ども向けの化学や自然についての本を多数制作。本作は、ケイト・グリーナウェイ賞にノミネートされました。著書に子どもが興味を持つような面白い題名の本があります。「大海原の暴れ者サメ対知能ハンターシャチ」「必殺毒針戦士サソリ対巨大モグラタランチュラ」など。

ダニエル・イグヌスはスウェーデン生まれ。画家、イラストレーターで、シャネルのデザインも手掛けています。同じイザベル・トーマスの書いた「キツネ 命はめぐる」の絵も描いています。ほかに「おっこちてきた」や「すきなものみっつ なあに」など。

ガそして昆虫について…

ウイキペディアによると、ガとは節足動物門・昆虫網・チョウ目に分類される昆虫のうち、チョウを除いた分類群の総称。しかし厳密にいうと、ガとチョウに明確な区別はないそうです。「チョウを除いた」ってかなり大雑把ですね。

 

昆虫といえば、先日話題に上った金粉クワガタについて。今年6月沖縄県大宜味村(おおぎみそん)の辺土名高校サイエンス部の先生と学生が、金粉がかったようなオキナワノコギリクワガタを発見しました。同様のクワガタを2年前に発見したときの調査では186匹中1匹で、出現率にすると0.5%になります。

金粉個体と呼んでいるそうですが、その原因はまだ不明。複雑な遺伝的要素が重なったのではないか等いろいろな説がありますが、この本を読んで、「もしかしたら環境に適応したのかも」、と。大宜味村の山奥に落ちている金の延べ棒をベットに、仰向けになってぐっすり眠るオキナワノコギリクワガタを妄想して、ちょっと愉快になりました。

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