hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

しずかでおだやかな時間

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また蒸し暑さがぶり返していますが、夕方は日の暮れが早くなり、夜になると鈴虫が鳴いて涼しい風が吹くようになりました。

今日はそんな静かな夜に読みたい本、

「エイモスさんが バスに 乗りおくれると」(光村教育図書 2021年11月第1刷発行) 文 フィリップ・C・ステッド  絵 エリン・E・ステッド  訳 青山 南

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エイモスさんはどんなひと…

表紙中央でペンギンと手を繋いでいるのがエイモスさんです。少し前かがみになった姿勢や薄くなった髪の毛、エイモスさんはちょっとおじいさんのようです。

エイモスさんはいつもはバスで通勤し、動物園でそうじやえさやりの仕事をしています。表紙絵のなかの動物たちは、エイモスさんの動物園のおともだちです。

この本の魅力は…

物語は「エイモスさんは、心わくわくで、ねむれませんでした」という言葉からはじまります。

エイモスさんは、お年を召して、ちょっと動きがゆっくりだったりうっかりするところがあるようです。眠れなかった理由がとても微笑ましい。動物園のともだちと遠足にいくことが楽しみ過ぎて睡眠不足のエイモスさんは、バスに乗り遅れたり仕事中に居眠りしてしまったり。

エイモスさんとともだちは、無事に遠足にいけるでしょうか。

この作品の最も魅力あるところは、特徴のあるイラストだと思います。木版画とえんぴつ、日本の彫刻刀やばれんなどを使って描かれています。

えんぴつで描かれた線はとてもやわらかく、エイモスさんや動物たちのやさしい雰囲気や物語全体の静謐な世界を表現しています。ばれんを使った効果でしょうか、淡い緑、黄緑を基調にした色彩にはほんのりした濃淡があり、心が穏やかになります。

私が一番好きな場面は、すこし運動するつもりのカメが動物園のそとへ出ていくところです。見開きいっぱいに動物園の入り口と看板、その周りを囲む柵が描かれ、その柵に沿ってカメが行ったり来たりします。

背景はなにも描かれていない動物園の柵なのですが、えんぴつで手描きされた細くて長いやわらかな線がのどかな空間を表現しています。

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作家について…

文章を書いたフリップ・C・ステッドとエリン・E・ステッドはご夫婦。ニューヨークとミシガン州のアナーバーの二か所にお住まいがあるようです。そして、この作品の前作「エイモスさんが かぜを ひくと」はコルデコット賞を受賞しました。

動物園といえば…

数年前、どうしてもハシビロコウに会いたくて上野動物園に行きました。はじめて対面したハシビロさんは想像通りのカッコ良さ!毎年一度は会いに行くぞと思っていましたが、ご時世の諸事情で願い叶わず…今年は年内に一度は行って再会を果たしたいです。