いくつになっても、好きなものや楽しいこととの初めての出会いは心が弾みます。
今日は初めて読んだイランの絵本です。
「 ボクサー 」 ( トップスタジオHR 2021年11月 初版 ) 作者 ハサン・ムーサヴィー 訳者 愛甲 恵子
どんな絵本かな…
ボクサーの、ひときわ大きなからだ、長い手足で、打って打って打ちまくる姿が、とても印象的な絵本です。
しかし、頭部はからだと比べてとても小さく、その表情は常に陰に覆われて、感情を読み取れません。
そこに、詩のように散りばめられた、短い言葉が綴られていきます。
単語のひとつひとつが、その瞬間瞬間の動きや感情を捉えます。
ボクサーは周りのもの全てをひたすら打って打って、気がつくと周りにはなにもなくなってしまいます。まるで感情の無い機械のようです。
私には、あまりにも孤独過ぎて、心が麻痺してしまっているかに見えました。
なにもなくなった世界、そこではじめてボクサーは立ち止まり、考えます。
…考えた先に光が見えて、ホッとしました。
考えて考えて、そして、ボクサーは、打つことの意味を見つけたのでした。
異国の雰囲気…
本書の絵、個性的です。
先に説明したとおり、ボクサーの容姿も特徴がありますが、草原や海や山など背景の描き方も勢いがあって見どころです。
それから、カラフルに描かれたお菓子の国のような屋根の街並みも美しい、イランの街並みってこんな感じなのでしょうか。
作者について…
1983年、イラン中部の都市ゴム生まれ。シャヒード・べへシュティー大学でグラフィックデザインを学ぶ。2019年ブラチスラバ世界絵本原画展のグランプリ受賞。
サヘル・ローズさんの紹介文によると…
イランは5000年の歴史を持つ国です。伝統的な詩の文化が根付いていて、世界的な詩人が多くいるそうです。子どもの頃から詩に親しみ、詩の絵本も多く出版されているとのこと。
少し古いものですが、イランについて詳しく紹介している資料を読んでみました。
こちらは、「イスラム書道の花嫁」と呼ばれるイラン独自のナスターリーグ書体。
詩を愛するイラン人が好んで使う気品ある美しい書体です。本当に綺麗。
(画像はウィキペディアより)
さて、唐突ですが、ここで3択クイズです。正解は下に。
① イランの冬至に食べるものは?
A. カボチャ B. スイカ C. ナットウ
A. パンデミック B. パラダイス C. パンナコッタ
③ イランが原産の花は?
A. バラ B. チューリップ C. ザクロ
それでは、正解を。(簡単すぎたでしょうか?)
① B.スイカ ② B.パラダイス ③ A.B.C.全部正解(ちなみに国花はバラ)
日頃の時事ニュースでは知ることのなかったイランの一面が垣間見えました。