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一期一会の本と日常のおはなし

【たびする木馬】こんな旅もあります。

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どんなものにも旅が。

「たびする木馬」

(アリス館 2022年11月11日 初版発行) 

作 牡丹靖佳(ぼたんやすよし)

どんな絵本…

木馬の旅は自分の意志で移動するわけではありません。

 

メリーゴーランドで、自分の仕事に誇りをもっていた木馬。

ですが遊園地が閉園に。

木馬はそれからいろいろな場所を転々とすることになります。

 

うれしい時もあれば寂しい時もあります。

懐かしい再会もあれば穏やかな日々も。

静かな時間を過ごすこともあれば新しい出会いも。

 

木馬の喜びは、誰かが自分の背中に乗って喜んでくれること。

そのささやかな望みが叶えられれば、木馬は幸せです。

 

自分にとって何が大切か、何が幸せか

それをちゃんと知っている木馬は

たとえ自分ではどうにもならない運命の旅でも

いつも心に温かい気持ちを持ち続けています。

イラストについて…

色とりどりの淡いパステルカラーで

柔らかな筆づかいで描かれるイラストは

見ていて心が和みます。

 

背景や装飾品に

不思議の国に迷い込んだような

抽象的な形や雰囲気もあり心惹かれました。

 

主人公の木馬は

そのどこまでも空洞の瞳や

どんなときにも変わらない表情

ずっと同じ跳ねるような姿勢で描写

命を宿してはいないもののそれです。

 

そこに添えられた言葉たちが

そんな木馬に命を吹き込んでいます。

優しくて温かくて穏やかな木馬の気持ちを。

著者のプロフィール…

牡丹靖佳さんは1971年大阪府梅田生まれ。

現代美術作家。

ニューヨークの学校で学んだのちに帰国。

第4回セゾンアートプログラム美術家助成受賞など

複数の受賞歴があります。

作品に「おうさまのおひっこし」

「どろぼうのどろぼん」「めいわくなボール」など。

現在は東京と京都の二拠点にアトリエを構える。

2人組のアート・ユニット「ポー・ワング」としても活動。

 

こちらのサイトに著者の人となりが詳しくわかる

インタビュー記事がありました。

www.1101.com

引っ越しや移動の多い生活をされているそう。

ご本人の「旅」に対する考えも語られています。