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一期一会の本と日常のおはなし

【さとうねずみのケーキ】トムとティナの友情

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そして、食いしん坊な女王様も。

「さとうねずみのケーキ」

(アリス館 2006年1月20日 初版発行)

文 ジーン・ジオン  

絵 マーガレット・ブロイ・グレアム  

訳 渡辺茂男(わたなべしげお)

どんな絵本…

原作は1964年に描かれた

原題「THE SUGAR MOUSE CAKE」

 

お城に住んでいる貧しいケーキ職人トムと

小さな白いティナという名前のねずみのストーリーです。

 

王室お抱えのケーキ職人のトムは下っ端なので

いつも周りのコックからバカにされています。

 

同じお城の小麦粉貯蔵室に住む

白いねずみのティナだけが良き理解者。

ティナはトムの作るケーキが

誰よりも美味しいことを知っています。

 

ある日、城一番のケーキ職人が引退するので

次の料理長を決めるため

ケーキコンテストが行われることになりました。

 

トムもとっておきのアイデアを込めた

オリジナルケーキを作って挑みます。

 

ところがとんだアクシデントが起きて

ティナが騒動に巻き込まれることに。

 

果たしてトムは王様女王様にケーキの腕を

認められるでしょうか?そしてティナの運命は?

 

この絵本の魅力は…

ケーキを作るシーンが細やかに丁寧に

リズミカルに描かれていて楽しそう。

読者もきっとケーキ作りに挑戦してみたくなるはず。

 

脇役で登場する女王様の個性的なキャラクターも

物語に塩辛いエッセンスをもたらして

スリリングなストーリー展開に一役買っています。

 

軽快なコミック風の黒鉛筆の線画に

彩度を抑えた水色と赤色の二色を

巧みに駆使して色付けし

時には深い奥行を出しているイラストも

洗練された雰囲気があり

お城で繰り広げられる物語に品を添えています。

 

著者について…

文のジーン・ジオンさんは

1913年アメリカ・ニューヨーク生まれ。

出版社に勤めたのち1946年から兵役を経て

フリーライター・デザイナーとして活躍。

 

絵のマーガレット・ブロイ・グレアムさんは

1920年カナダ・トロント生まれ。

トロント大学で美術史の学士号を取得し、

製図工やデザイナーとして活躍。

ふたりは夫婦です。

ほかにふたりの代表作となった

共作「どろんこハリー」などがあります。