「したいことを、ただ口にだしていえばよかった。」
「魔法のことば」
エスキモーに伝わる詩
〈柚木沙弥郎 生誕100年記念出版〉
(福音館書店 2000年4月発行
2021年12月 第3版)
絵 柚木沙弥郎
訳 金関寿夫
どんな絵本…
はっきりとした鮮やかな色たち
人物も動物も伸び伸びとした曲線で描かれ
勢いがあります。
どこか山奥の洞穴の、遺跡の壁から
発見されたとしても違和感がないような
原始的な生命の息吹を感じる大胆で躍動する絵です。
ナニコレと思うような点点やグルグルもあります。
本書は、金関寿夫さんの著書
「魔法としてのことばーアメリカ・インディアンの口承詩」
のなかのエスキモーの人々に伝わる一篇の詩をもとに
絵本として構成されました。
このエスキモーの詩は
太古、人間と動物の関係は今とは全く違うもので
人間が発する「ことば」にも全く違う力があったことを
短く素朴で力強い言葉で詠っています。
本書の原始的な絵とともに読むとき
読者のなかに生きる力がみなぎる言葉です。
作者のプロフィールを…
絵・柚木沙弥郎(ゆのき さみろう)さんは
1922年東京都生まれの染色家。
現在101歳。
布地への型染めのほか、染紙やポスター
イラストレーションや立体作品など
多様なかたちの作品を手がけています。
柚木沙弥郎さんの公式サイトです。
https://www.samiro.net/index1.html
こちらのサイトで
その人となりや創作への思いを知り
他の絵本も読んでみたくなりました。
サイトのカテゴリーのなかの
「notebook2」柚木沙弥郎文献集
講演「民藝と私」の「7.プロセスを大事にする」に
ご本人が「生き方のキー」とする思いが書かれています。
ぜひ皆さんに読んでいただきたい言葉です。
この絵本の1994年オリジナル版は
1996年度〈子どもの宇宙〉国際図書賞を
受賞しました。
さて、太古「ことば」が持っていた力とは。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが
ブログ冒頭の言葉からどうぞ想像してみてください。