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一期一会の本と日常のおはなし

【きみのうたをきかせて】控えめなクマの歌は?

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魂の叫び!

「きみのうたをきかせて」

化学同人 2022年9月 初版第1刷) 

文 ケアリー・フェイガン 

絵 ディーナ・シーファリング  

訳 橋本あゆみ

この絵本の魅力をまず…

英題は「BEAR WANTS TO SING

歌を歌いたいクマのお話です。

 

歌いたいんだけど、

なかなか歌えないところがよいです。

 

やっとのことで、ついに歌ったんだけど

周りの反応がイマイチだったときの

クマの落胆っぷりがまたよいです。

 

この投げやり感、

不貞腐れ感がまたじわじわきます。

 

失敗したときの受け止め方、というか

失敗というほどでもないんだけど

本人にとっては傷ついちゃう

やっちまった状況のときの対処法にも

本書のエンディングは参考になります。

 

落ち込んでる誰かの傍らにいたときの寄り添い方も

クマの友だちのネズミのやり方を真似したら

上手くいきそうです。

どんなストーリー…

森の中でウクレレを拾ったクマ。

誰かに歌って聞かせたいと思います。

ちょうど友だちのネズミがいました。

さて、いざウクレレを弾きながら

思いの丈を歌おうとすると

別の楽器を拾った歌いたい面々が現れて…

 

細く淡い黒一色だけの線が

柔らかでおおらかな物語を彩る鉛筆画です。

 

この一色の線だけで、

ちょっと押しの弱いクマの喜怒哀楽、

ワクワク感もムムム感もションボリ感も

表情や体の動きで見事に表しています。

 

ほかの観客たちにはイマイチウケませんでしたが

さてクマは一体どんな歌を歌ったのでしょう?

 

読み返して聞けば聞くほど(読めば読むほど)

これは全くネズミの言う通りクマらしい歌なのです。

 

全体のストーリー展開が

少々お疲れ気味の大人の心にも響きそうで

誰かにプレゼントしたくなる絵本。

 

本書はバンクストリート教育大学の

2022年選定絵本となりました。

著者のご紹介…

作家のケアリー・フェイガンさんはカナダ生まれ。

数多くの児童書を手がけ

ヴィッキー・メトカーフ児童文学賞を受賞。

本書の姉妹本に「おうかんはだれのもの」があります。

 

イラストレーターのディーナ・シーファリングさんは

カナダ在住で羊毛フェルト作家でもあります。

「おうかんはだれのもの」のイラストも描いています。