どうなっちゃうの?このけんか!
「けんかのたね」
(岩波書店 2022年2月 第1刷)
作 ラッセル・ホーバン
訳 小宮 由
絵 大野八生
どんなお話し…
仕事で疲れ切ったお父さんが家に帰ってくると
玄関の扉を開けた途端に騒々しい音と声
お父さんの家族は
お母さんと
4人の子ども
一番上のお姉さんドラ
二番目の男の子フランク
三番目の妹エミリー
末っ子の妹ミーナ
そして
犬のボンゾー
猫のプッス
いったいどうしたことか
ボンゾーはプッスを追いかけ
4人のきょうだいは大ゲンカ
たたき合ったりわめき合ったりしています。
ドラはフランクが悪いと言い
フランクはドラが悪いと言い
ドラの行いの原因はエミリーにあるとお母さんが言い
エミリーはボンゾーのせいだと言い
ミーナはボンゾーの行いの原因は
プッスにあると言います
言葉を話せないプッスは言い返せません。
猫のプッスが悪者になっておしまい
……ということにはなりません。
プッスは部屋の壁の穴の奥に住む
ネズミに文句を言いにいきます。
「原因はネズミにある」と。
するとネズミはプッスに思いがけない返事をします。
お話しの行方は…
それぞれが責任を押し付け合って
小さなケンカがだんだん大ゲンカに。
しかし
最後に文句を言われたネズミの言動で
事態は逆回転します。
ひとつひとつの出来事を紐解いて
きょうだいみんな
ひとりひとりが反省し謝って仲直りできました。
けれどこのお話し、これで終わりではありません。
プッスに怒られへとへとになって戻ったネズミが
家の扉を開けると…
作者と原作について…
作者のラッセル・ホーバンさん
(1925-2011)は
「おやすみなさいフランシス」をはじめとする
「フランシス」の絵本シリーズや
「親子ねずみの冒険」など作品多数。
ウィットブレッド賞を受賞しています。
本書の原作が書かれたのは
1964年、今から60年近く前です。
原題は「THE SORELY TRYING DAY」
日本語で「大変な日」
今も全く色あせないストーリー
「けんかのたね」は人類永遠のテーマかも。
はじめは悪気のないちょっとしたトラブルが
いつの間にか大ごとに
ムキになっているうちに相手だけが悪者に
こんな誰でも陥りそうなことを
コミカルにユーモアを交えながら描いています。
大切なのは
責任を押し付けるのではなく
まず自分の落ち度を受け入れ
みんなで話し合い
理解し合う
そんな当たり前だけど意外と難しいことを
楽しく教えてくれます。
自分の非を認めるのってなぜか意外と難しい
私にとっても
少々耳の痛いお話しでした(;^ω^)