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一期一会の本と日常のおはなし

【がっこうにまにあわない】最も短い?絵本

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遅刻は、おとなになってもドキドキです。

「がっこうにまにあわない」

あかね書房 2022年6月 初版)

作・絵 ザ・キャビンカンパニー

タイトルが…

刺激的(⁈)で面白そうなので

読んでみることに。

がっこうにまにあわない」とは?

思い浮かんだ感情は「焦り

どうかな?当たってるかな違うかな?

まず著者について…

本書の紹介文より

ザ・キャビンカンパニーさんは

阿部健太朗さんと吉岡紗希さんによる

二人組の絵本作家。ともに大分県生まれ。大分県由布市内にある廃校を制作拠点とし、絵本、立体造形、アニメーションなど様々な表現方法を使い、独自の世界観を生み出している。

とあります。

本書でも

物語の発想や構成がユニーク

その絵も

現実のなかに主人公の少年の心象風景が

入り交ざったような不思議な描写が目を引きます。

どんなお話…

このお話

なんと遅刻しそうな少年が学校へ向かう

7時47分から8時までの14分間

分刻みで描いたもの。

その14分間のストーリーです。

 

黒いランドセルを背負って大急ぎで走る少年。

その目に映るいつもの道は混沌としています

 

見えないものが見えたり

真っ直ぐなはずのものが

グニャグニャに曲がっていたり。

 

渡りたくても渡れない遮断機の前で

列車は怪しい雰囲気を持った

謎の乗り物の様相を呈しています。

 

焦っていたり慌てていたりすると

周囲がいつもと違う見え方をすること

確かにあります。

 

少年にとっては

苦手なものがとてつもなく大きく見ました。

 

大急ぎで学校へ向けて駆けていく少年と

そのごく身近な通学路の光景に

幻想的なオブジェの数々が盛り込まれて

その時の少年の気持ちが伝わってきます。

 

どこか

抽象画の油絵を見ているような気にも。

 

どうしてこんなに急ぐのか。

こんなに焦っているのか。

 

もちろん

学校の登校時間ということもありますが

もうひとつ大事な理由がありました。

 

物語の締めくくりは

その大事な理由とともに

焦りから思いっ切り解放された少年の心が

美しい描写で見事に表現されています。

私の心もその絵の解放感に包まれました。

 

日常の不思議を楽しみたい方

ジタバタしたあとでスッキリしたい方に

おすすめです。

再び著者について…

私は今回はじめて知った著者ですが

多数の作品を創られています。

 

主な著書に第20回日本絵本賞読者賞を受賞した

「だいおういかのいかたろう」や

第23回日本絵本賞読者賞を受賞した

「しんごうきピコリ」などがあります。