hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【3.11に思うこと】

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あの日あの時、私は内陸部の街中の

小さなビルの4階にいました。

 

点けていたTVから

緊急地震速報が流れたのと同時くらいに

強い揺れがはじまりました。

 

今まで体験したことのない激しさ。

机の下に身を隠していると

電気がバチバチと音を立てて切れ

隣室の背の高い書類棚が

一斉に倒れる大きな音が聞こえました。

 

それでも揺れは収まらず

さらに激しさを増しました。

 

どうすることもできず身を縮めていると

しばらくして揺れが落ち着いたのですが

その時間はとても長く感じられました。

 

とにかく外に出ましょうと室内にいた方に声を掛け

状況を知りたくて、斜め向かいにある

大きなビルの一階ロビーへ行くと

そこには呆然とした大勢の人が集まっていました。

 

その時点で私は、その激しい揺れ方に

自分のいるところが震源地かと思っていました。

 

もっと大変なことが

沿岸部で起こっていることを知ったのは

数日後、自宅の電気が復旧し

TVのニュースを見てからでした。

 

あれから

あの時感じたことを忘れたことはありません。

 

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(浪江町生まれのお米の妖精「うけどん」です。

海沿いの浪江町は震災で大きな被害を受けました。)

ukedon.jp

 

今年の3月11日で、あの日から12年になります。

 

昨年の秋

スポーツイベントのボランティアに参加するため

沿岸部にある施設へ行ったときのこと。

 

そこで、施設から車で20分ほどの

沿岸部に住むボランティアの方と

お話する機会がありました。

クルクルと身軽によく立ち働く

細身で小柄な70代の女性です。

 

その方は

あの震災の津波で家も車も流されたとのこと。

避難所を転々としたことや

高齢のお舅さんもいて大変だったこと。

しばらくして

知人から使っていない民家を借りることができ

水の出る暮らしができて幸いだった…

などお話してくださいました。

 

そしてお話の締めくくりに

「今となってはいい思い出」と。

 

それは言葉通り

素直にそう思っていらっしゃるのが

伝わってくる言葉でした。

 

私は内心、ちょっとびっくりしました。

この話の流れで、その言葉が聞けるとは

想像もしていなかったので。

 

つい最近まで長年の間

障害のある子どもさんの学級の

支援員をされていたことも聞きました。

 

イベント主催側の若い女性の

「どうしてボランティアに参加したのか」

という問いかけに

何の迷いもためらいもなく

「他人の役に立つのがうれしいから。」

と即答されていました。

 

この言葉も

超剛速球ストレートで私の心に響きました。

(ちなみに私は友だちに誘われたから、でした。)

 

ご自身で「ミーハーだから」とおっしゃる通り

イベントに登場したゲストの方々にも

興味津々のご様子で、活動を楽しんでいらした。

 

好奇心旺盛で前向きで行動的

他人の役に立つことが喜びの方は、強い。

強くて、そして真に優しい。

昨年出会った素敵な方のおひとりです。

 

支援員のお仕事はご家族から

「もう年だからそろそろ…」と言われて

リタイアされたとのことで

この時だけはちょっぴり残念そうでした。

 

 

こちらは、2020年にオープンした

東日本大震災原子力災害伝承館」です。

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東日本大震災・原子力災害伝承館

https://www.fipo.or.jp/lore/

当時の被災地の状況から現在に至る歩みを

詳しく知ることができる施設です。

これからの災害に備えるためのヒントも

たくさん見つかると思います。

 

3階のテラスから被災地の今を見渡して

そこから望む光景に皆さんなら何を思われるか

いつかお聞きできたらうれしいです。