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一期一会の本と日常のおはなし

【はやたろう】松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話

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日本昔話の絵本です。

松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話
「はやたろう」

小学館 2001年8月 初版) 

監修・松谷みよ子  

文・小沢清子  

絵・太田大八

日本の昔話です…

この絵本は、全編ひらがな・縦書きです。

お子さんの読み聞かせにも、ひとりで読んでも。

 

むかし むかし ずっと むかし。

あるむらに たびの ぼうさんが さしかかると、

まつりの ちょうちんが かえてある。

「はて、まつりにしては しずかだのう。

ふえも たいこも きこえんが」

ぼうさんが くびを かしげて いると、

とつぜん ひとの すすりなく こえがした。

こんな出だしで物語ははじまります。

 

淡い深緑色に染まる空。

薄暗い山間の田舎の村に

藁ぶき屋根に土壁の家が

寂しげに並んでいます。

太田大八さんの描く

物語の情景はどこか不安気です。

 

それぞれの侘しい民家の軒先には

細長い棒の先に薄明かりの灯る提灯が

心細げに立てられています。

 

これから何か嫌なことが起こりそうな暗さ。

 

お坊さんが民家のなかの一軒を訪ねると

大勢の人が集まって泣いていました。

 

そのわけは、村ではお祭りの日に

若い娘を生贄に差し出さなければならず

そうしないと田畑を荒らされ

食べ物が取れなくなってしまうのだそう。

それを聞いたお坊さんが社の下に隠れていると

恐ろしい化け物が現れて奇妙な唄を歌います。

 

「えちご たかだの はやたろう

こんや ここには くるまいな」…

 

唄いながら化け物たちは

生贄の娘をさらっていってしまいました。

 

お坊さんはこの化け物たちを退治してもらおうと

はやたろうを探して旅に出ますが…

物語の見どころは…

その昔、人智の及ばない現象に対して「生贄」を

捧げる行為は実際に様々な地域で行われていました。

 

昔話は、昔本当にあった風習に触れることができる

貴重な機会だと思います。

 

ところで「はやたろう」が誰なのか?

それはきっともう皆さん

薄々わかっているのでは。この表紙ですから。

 

ちなみにネットで「はやたろう」と検索すると

全国各地のラーメン屋さんが出てきます。

ラーメン屋さんに人気の名前なんですね。

 

早太郎(はやたろう)

またの名を「悉平太郎(しっぺいたろう)」は

長野県と静岡県で長年親しまれてきた物語で

今も愛されているヒーロー犬だそう。

同県の方はよくご存じなのかな?

 

いろいろ調べてみると

同じ物語が別なタイトル「猿神退治」でも

存在していたり、本書では語られていなかった

はやたろうの子犬時代のことが

記されているものもあります。

村人を救った救世主として

後々まで感謝されたはやたろうですが

外飼いさえも滅多に見かけなくなった

現代に生きる犬好きとしては

もっとめでたしめでたしのお話しにしてほしかった

という結末でもありました。

こちらは本書の編集部から〈おうちの方へ〉のメッセージです。

いつの時代にも色あせることなくわくわくドキドキさせてくれる「昔話」。昔話は、日本に伝わるすばらしい伝承文化です。そんな日本の昔話を、二十一世紀を担う子どもたちに伝えたいと、私たちは考えています。想像力豊かな子どもを育てるために、お子さまと一緒にお話しの世界にはばたいてみませんか。