知らなかったことがたくさん載っていました。
「法は君のためにある」
みんなとうまく生きるには?
ちくまQブックス
(筑摩書房 2021年10月 初版第1刷)
著者 小貫 篤
どんな本…
サブタイトルは
みんなとうまく生きるには?
中高生向けの本ですが
読んでみると法についての基本的な考え方が
論理的にわかりやすく書かれていて
私にもぴったりな本でした。
著者は中学・高校で公民科を教えている方
本書のなかの文には
「いま社会はどんどん変化して
何かしらの知識を覚えれば良いという時代ではなく」
「身近なことや社会問題を解決するために
法ルールの基本的な価値や考え方、
トラブルを解決する交渉の技能を学ぶことが
重要と考えている」とあります。
本の内容は…
以下の第1章から第7章からなります。
- 【契約】電車の遅れは遅刻の言い訳にならない?
- 【プライバシー】自分の画像をSNSに載せられた?
- 【過失と責任】ボールで自転車が壊れたらだれの責任?
- 【配分の正義】部活の大会にだれを出す?
- 【交渉と紛争解決】文化祭のトラブルをどう解決する?
- 【性とアウティング】同性から告白された
- 【アファーマティブ・アクション】入試は平等でないといけない?
とても身近で、いつ自分に起こっても
おかしくない問題がテーマになっています。
それぞれの章ごとに
具体的な例が2つ掲載されていて
理解が深まります。
著者の意図するところは
自分で考えること。
自分だったらどうするかを考えながら
読みするめられる構成になっています。
考えるときの重要なポイントとして
「利益や負担のバランスをとる(公正)」
「自分らしく生きる(自由)」
といった法の基本的な価値を意識するようアドバイスしています。
そこで問題です…
いろいろな具体例のうちのひとつを。
よかったら、みなさんならどうするか
考えてみてください。
「3人の少年と1本の笛」
3人の男の子アキラくん、カオルくん、アツシくんが1本しかない竹製の笛をめぐって争っています。
・アキラくん 7歳。他の二人よりも笛を吹くのが上手。
・カオルくん 6歳。3人の中で一番貧しく、おもちゃはほとんど持っていない。
・アツシくん 6歳。道に落ちていただれのものかわからない竹をみんなで拾ってきた。その竹を自力で加工して笛をつくった。
3人の住んでいる村では、年上の言うことを聞くことが大切だという文化があります。きみが間に入って、この3人のだれに笛をわたすか決めるとしたら、だれにわたすべきでしょうか。
だれに笛を渡すのか、その理由が大事と書かれています。
本書の解答では4つの考え方
(地域での価値を重視する)
「公正としての正義」
(恵まれない環境の人の境遇をよくする)
「リバタリアニズム」
(個人の自由をとても尊重する)
「功利主義」
(人びとの幸せの合計が大きくなることを重視)
が示されています。
私ははじめ「公正としての正義」に
基ずく考え方をしましたが
一日考えて5番目の考えを思いつきました。
それがうまくいくかどうかはわかりません。
全員が納得する結論を出すのは
簡単ではないのですが、それでも
考え続けることが大事だと思います。
法ルールの視点から
いろいろな意見を持つ人たちが
みんなでうまく生きるための
基本的な考え方
そして交渉の方法や手順が
よく理解できる本です。
以前記事にしたちくまQブックスの本です。
こちらもよろしければご覧ください。