hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【かもとりごんべ】松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話

当ブログではアフェリエイト広告を利用しています

松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話

「かもとりごんべ」

小学館 2001年8月 初版)

監修・松谷みよ子  

文・水谷章三  

絵・関屋敏隆

日本の昔話を…

日本の昔話、ずいぶん前に読んだきり。

今ならどんなふうに感じるかと

また読んでみることにしました。

 

この絵本は、全編ひらがな・縦書きの絵本です。

製本の仕方も昔の絵本を思い出す

厚手の紙でできた作りになっていて

昔話の雰囲気によく似合っています。

 

むかし あるところに、

ごんべという うでのいい てっぽううちが、

ちんこい むすこと 二人でくらしておった。

物語はこんな語り口で始まります。

 

冬の雪深い山間の

もうすぐお正月のある年ある日のことです。

どんな絵…

関屋敏隆さんの絵は

青い太線を軸とした

自由で大胆なタッチです。

 

ごんべの顔も飄々として愛嬌があります。

 

シンプルな筆致で描かれていますが

鉄砲の玉の飛び方が火の玉のようだったりと

勢いがあり大胆でありながら

よく見ると

両眉のあいだに大きなホクロがあったり

細やかさも見てとれます。

 

なによりもごんべの人の好さが

その表情からうかがえて愉快です。

 

物語の情景に対する想像を掻き立てられます。

どんなお話し…

なぜか獲物が取れない日が続き

明日のお正月の餅をつくこともできない

と焦るごんべ。

 

今日こそは獲物をと鉄砲を持って山へ行くと

湖にカモの群れを見つけます。

 

いつも通りのやり方では少しの獲物しかとれないと

ごんべが一生懸命知恵を絞って

工夫をして撃った鉄砲が

次から次へ幸運を呼んでいくお話し。

 

思いがけない大収穫に読者はすっきり爽快!

 

無事にごちそういっぱいのお正月を迎えた

ごんべや息子やご近所さんたちです。

 

昔、食料は自分で狩りにでかけ獲物を捕まえないと

食べられない時代がありました。

そんな遠い昔の日本の田舎の暮らしが垣間見える絵本です。

この本にある編集部から〈おうちの方へ〉のメッセージには

いつの時代にも色あせることなくわくわくドキドキさせてくれる「昔話」。昔話は、日本に伝わるすばらしい伝承文化です。そんな日本の昔話を、二十一世紀を担う子どもたちに伝えたいと、私たちは考えています。想像力豊かな子どもを育てるために、お子さまと一緒にお話しの世界にはばたいてみませんか。

とあります。

 

「かもとりごんべ」または「かもとりごんべえ」

物語の内容は諸説あり本書とはだいぶ違ったものも。

 

長年語り継がれたあいだに語り手のアレンジで

何通りにも枝分かれしたのでしょうか。

 

本書のごんべさんは真面目で家族思いですが

面倒臭がり屋のごんべえさんもいたり。

 

カモの捕まえ方もありありといろいろです。

お話しの展開や結末が真逆なものもありました。