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一期一会の本と日常のおはなし

【しろいは うさぎ】韓国済州島の絵本

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済州島といえば韓国ドラマのロケ地としても有名ですが…

「しろいは うさぎ」

福音館書店 2007年5月 発行) 

文・絵 クォン・ユンドク  

訳 チョン・ミヘ

どんな絵本…

この絵本は

済州島の人々に歌い継がれてきた

わらべ唄をもとにつくられました。

 

済州島

韓国の最南端に位置する、気候が温暖で

日本に最も近い外国です。

 

英語のタイトルは

There dangles a spider

(クモがぶら下がっています)

このタイトルの由来が

訳者の方によるあとがきに書かれていました。

 

「シリドンドン コミドンドン

シリドンドン コミドンドン」

この物語ははじまるのですが

絵本に描かれた茅葺屋根の民家の軒先や

黒い溶岩石を積みかさねて作った石垣のうえには

クモとクモの巣

 

コミドンドンのコミクモのこと

シリドンドンはクモが糸にぶらさがる様子を表す

済州島の方言です。

どんなお話し…

くものすは しろい

しろいは うさぎ

うさぎは とぶよ

とぶのは からす…

こんな風に連想ゲームのように

わらべ唄は続いていきます。

 

このわらべ唄に乗せて

赤い服におかっぱ頭の少女

クモやうさぎやカラスが登場します。

みんな、どこかユーモラスで

伸び伸びとしたすがたです。

 

絵の中には済州島の暮らしも描かれています。

カラスとウサギは女の子の友だちのようです。

一緒に歩いて遊んで。

 

みんながおやつに食べているのは

蒸かしたじゃがいも

海女の姿で海に潜っているのはお母さん

 

その絵とわらべ唄から

海沿いの自然のなかで生きる母子の日常や

お母さんの大きな愛情を垣間見ることができます。

 

この地方では男性は漁師の仕事が多く

海で命を落とすことも少なくありませんでした。

最後のページの明かりが灯る女の子の家の

入口に脱がれた靴はふたつ、

お母さんと女の子のものです。

お父さんはもしかしたら…

 

伸びやかで温かみのある絵と

今にも口ずさんでしまいそうな親しみのあるわらべ唄

そのなかに韓国の

済州島の風習や精神も込められています。

作者のクォン・ユンドクさんは韓国の絵本作家として名高い方。

以前にも絵本「マンヒのいえ」を記事にしたことがありました。

tokinoakari.hatenablog.com

 

ところで、

日本にもこのわらべ唄に似たようなものが。

思い起こされた方も多いのでは。

そう「さよなら三角またきて四角」です。

歌詞は

さよなら三角 また来て四角

四角は豆腐 豆腐は白い

白いはウサギ ウサギは跳ねる

跳ねるはカエル カエルは青い

青いは柳 柳は揺れる

揺れるは幽霊 幽霊は消える

消えるは電球 電球は光る

光るは親父のはげ頭!

地域や世代によって少しずつ内容が変化しますが

それぞれお国柄が表れていて(?)

比べてみるのも楽しそうです。