大きな動物が主人公の絵本だと、条件反射的に手に取ってしまいます。
「としょかんライオン」(岩崎書店 2007年4月第1刷)作 ミシェル・ヌードセン 絵 ケビン・ホークス 訳 福本友美子
どんなお話し…
強くて王様のイメージがあるライオンですが、この絵本の主人公ライオンは、図書館の読み聞かせ、お話を聞くことが大好きな物静かなライオンです。
ある日、図書館にライオンが現れます。みんなびっくりしますが、
図書館に「ライオンは入ってはいけない」というきまりはありません。
ただ、「周りの迷惑にならないよう静かにしている」というきまりはあります。
きまりが守れるなら、ライオンも図書館に来ていいことに。
すっかり図書館のきまりと、図書館に来る大人や子どもたちに馴染んだライオンでしたが、ある日大変な出来事が起きて…
この絵本は、きまりを守るとはどういうことかを、心温まる物語を通して伝えてくれます。
どんなイラスト…
静かで落ち着いた、それでいてやさしさの漂う温かい色合いで、図書館の居心地よい雰囲気が表されています。
絵本の部屋で気持ちよさそうに寝てしまったり、館長のお手伝いにしっぽでお掃除をしたり、ライオンのしぐさが微笑ましい。
この機会に「きまり」(ルール)とは…
改めて問われると、どう説明したら。
「きまり」は、規則、校則、社則、スポーツの規則、法律、憲法、ルールなどに言い換えることもできます。
きまりを辞書で調べると、①物事のおさまり、結末、決着②決められた事柄、定め、規定
いろいろなサイトのこれはと思うものを抜粋してみます。
- 社会の秩序、人間関係などを整理整頓してくれるもの
- 人の心(主に怒りや哀しみから発生するもの)に制限をかけるもの
- 共生のための相互尊重に必要
- 紛争を解決するとりきめ
- 理由のないルールは存在しない
- 常識とルールは違う 常識は暗黙知であり、ルールは守るべきもの
- ルールを破った場合、誰かが損害を受ける可能性が高い
- ルールは、その場をどのような方向に進ませたいかという発想から生まれる
- ルールは、作る側とそれを受ける側が存在する
- ルールは、共通の目的を達成したり、スポーツなどの行為の存在を定義するために必要
- 守る意味のないルールも存在する ルールを守る理由は「ルールだから」ではない
この絵本から伝わるのは…
子どもの教育向けのサイトではきまり(ルール)とは、「参加する人が守らなけらばならないきまり。守らない場合はペナルティ(罰)がある。」
ライオンは、ある出来事のため、きまりを破り、自ら図書館に通うことをやめます。
また、別の学生向けのサイトでは、「時と場合によっては「きまり」を守らないほうがよいこともある。ルールの意味を考え、きちんとルールを運用することが大切。」
それまできまりに厳しかった館長ですが、再び図書館に現れたライオンに会うため、はじめてきまりを破ります。それは…
みんなが笑顔になる、そんなルール違反で物語は締めくくられています。
きまりについて話すことは敷居が高そうですが、こんな優しいお話を読みながらなら自然と理解につながりそうです。