先日も「うっかり」したばかり。目の前に準備していた帽子を忘れて外出し、気がついたときは取りに戻れない場所でした。
「 うっかりおじさん 」(朔北社 2019年8月 第1刷) 作 エマ・ヴィルケ 訳 きただい えりこ
ユーモア満載絵本です…
たぶん10年前の自分だったら、無邪気に笑い転げただろうと思うのですが。
今はそんなに素直に笑えない。。。まるで自分のもう少し先の姿を見ているようで。
主人公のおじさんは、おじいさんと言ってもいいくらいのお年頃に見えます。
髪の毛はだいぶ薄くなって、お顔にもしわがちらほら。
どうも、ときどき忘れ物をするみたい。
しかも、お出かけ前の忙しい時に限って、大事なものが見つからない。
(あれ、なんだか少々耳が痛い。)
おじさんはたずねます。「きみ、ちょうど いいところに きてくれた!めがねが みつからないんだ。みなかったかい。」
このおじさん、若かりし頃はおしゃれでダンディーな紳士だったんじゃないかな。
「きみ」と呼ばれたお相手は、おじさんの探し物を次々に差し出してくれます。
そうです、探し物はひとつじゃありません。数えてみたら5つありました。
(よかった、私はまだそこまでじゃない)
実はこのおじさん、肝心かなめなものを忘れたまま出掛けて行ってしまうんです。
(大人のプライドは、高く高~くなってますから、これ忘れてますとはお相手の「きみ」も言えなかった?でもこのままでは、風邪を引いてしまう。)
大真面目なおじさんの表情が楽しい、ユーモアあふれる絵とお話し、小さな子どもがお腹を抱えて笑っているのが目に浮かぶ、読み聞かせにぴったりな絵本です。
著者について…
スウェーデンの絵本作家、イラストレーターで、ストックホルム在住。本作で、スウェーデンのすぐれた絵本に贈られるエルサ・ベスコフ賞を受賞。
なお、本作の英語による原題は「Help Mr.H getting dressed」。全然違う邦題に、訳者の方の絶妙なセンスを感じます。
著者もよく忘れ物をするそうで、メガネを忘れて100キロ車を走らせたこともあると紹介欄に書かれていました。
埼玉県生まれの訳者も、スウェーデン留学の際、トランクのカギを日本に忘れてしまったため、トランクを開けられなかったことがあったとか。
みなさん、それなりにやってますね!なんだか安心するエピソード。以前一緒に旅行した友だちが、トランクにカギをかけ忘れてそのまま飛行機に乗ったことを思い出しました。私だったらどっちがいいかなぁ。
うっかりおじさんの、最後の忘れ物だけは避けたいものです。