オランダというと風車や木靴のイメージが強かったのですが、このお話はオランダでも個性豊かな地域ゆかりのもの。新たなオランダとの出会いです。
「お話のすむ家」(偕成社 1996年8月 第1刷)作者 ミンダルト・ヴィンストラ 絵 バップス・ヴィンストラ 訳者 小林たん子
どんなお話し…
主人公のヨーストは、本が大好き。寝ても覚めても本に夢中です。
ヨーストの周りの登場人物はみんなちょっとずつ変わっています。
お父さんとお母さんはテレビばかり見ています。テレビオタク。ヨーストが話しかけてもうわの空です。
ヨーストは、どうやったら面白い物語が書けるのか、どうしても知りたくなって、大好きな本の作家に手紙を出します。すると、作家から自宅へ招待の返事がきて、初めてバスに乗り訪ねることになります。
本編の童話のなかに5つの短い創作童話が盛り込まれています。
そのどれもが風変りで、ユーモアたっぷり。それぞれ違う趣をもっています。
日本語訳だと多少分かりにくさもありますが、言葉遊びもふんだんに使われています。(このあたり、原語が理解できたら、さらに面白そうと思いました。)
時折でてくる挿絵も、物語の軽妙さをユーモラスに表現しています。
はじめから終わりまで、どこか不思議で奇妙奇天烈な印象を残す物語ですが、面白いお話を書くためのヒントは、なぜかしっかり伝わりました。
身近なものごとをよ~く観察すること、想像の翼を思いっ切り広げること。
この本の魅力について…
この本はオランダの童話です。
原作は、「フリジア語」という珍しい言語で書かれています。
オランダのなかでも、オランダ文化とは異なる独自の文化を持つ地域の「フリシアン」(frysian)と呼ばれる人々が使う言語です。
そこは、オランダの北海の沿岸。人口60万人ほどのフリースラント州を中心にした地域です。フリジア語は、歴史的な古い言語ですが、一般のオランダ人には、よく理解できないそう。オランダの公用語はオランダ語ですが、フリースラント州では加えてフリジア語も公用語となっています。
こちらは、フリースラント州の旗。壁紙の素材かと思った。可愛い。
7本の縞模様(青4本、白3本)と赤の7つのポンぺブレンデン(Pompeblêdden)
ポンぺブレンデンはフリジア語でプラムまたはスイレンの葉の意味です。
そして、フリジア語で歌う女性シンガー「ニンケ(NYNKE)」の曲です。
たぶんフリジア語で歌っている?歌詞の意味は全くわかりませんが、フリースラント州でしょうか、少年が駆け抜ける牧場や海沿いの街並みの映像が美しい。