hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【ゆきのひのおくりもの】フランスのロングセラー絵本

当ブログではアフェリエイト広告を利用しています

長く愛され続けている作品の情感豊かな文と絵をぜひ楽しんでください。

「ゆきのひのおくりもの」

(すずき出版 2017年10月 初版)

文 ポール・フランソワ  

絵 ゲルダ・ミューラー  

訳 ふしみ みさを

どんな絵本…

原題は「Les bons amis」、日本語に訳すと「良い友だち」。

フランスでの初出版は1959年、60年以上前です。

それからずっと世代を超えて読み継がれています。

 

どこか懐かしさを感じさせる優しい絵

友だちを思いやる気持ちが輪になって

温かくてしあわせな気持ちになる物語の絵本です。

寒い寒い雪の降る日、お腹を空かせた子ウサギが、

食べ物を探して外へ出てみます。

すると、雪に埋もれた

大きくて真っ赤なニンジン

2本見つけました。

子ウサギは考えます。

 

こう さむくって、ゆきも ふってちゃ、

こうまくんは きっと たべものがなくて

こまっているよ。

この にんじんを とどけてあげよう!」 

 

文章は全編ひらがなで書かれています(少しだけカタカナも)

 

絵は味わいのある色合いと可愛らしさ

そこに、しっかりとした存在感が加わっています。

 

濃い緑色のコートを着た子ウサギ

赤いブランケットを纏う仔馬

深紅のスヌードが良く似合う茶色い巻毛の

手編みの白いマフラーを巻いた小鹿

 

みんなの瞳が純粋で美しく、その心を映しているよう。

 

森の仲良し友だちの思いやりに触れて心が温かくなりました。

著者について…

作者のポール・フランソワさん(1898ー1967)は、

フランス生まれの教育者ポール・フォシェさんのペンネーム。

 

訳者のあとがきによると本書は、

フランスで生まれ

世界中に影響を与えた

ペール・カストール」シリーズの代表作

とあります。

「ペール・カストール」シリーズとは、

1931年、まだ子どもの本がほとんど存在していなかった時代

ロシアの絵本運動に影響を受けた作者が

教育のため、文章、絵ともに

最高に質のいい本

安い値段で子どもたちに提供しよう

と考え立ち上げたシリーズです。

その目的は

…子どもの感受性や創造性を伸ばし

個性を磨き

社会や生きていくことに対する目を養うこと

 

また教育者として

子どもが楽しんで自発的に学べる絵本作りを実践したり、

絵本の実験学校も開いて、よりよい作品作りに尽力しました。

 

画家のゲルダ・ミューラーさんは、1926年オランダ生まれ。

作者の創った絵本の実験学校で学び、

「ペール・カストール」シリーズでも多くの作品の絵を担当しています。

あるのが当たり前と思っていた絵本の

はじまりのときに触れることができた喜びを

本書との出会いに感じました。