先日お手伝いしたスポーツイベントでのこと。
多くの親子連れが来場しスポーツ体験に賑わいました。
会場の盛り上がりもピークに達したころ、真っ直ぐ駆け寄ってきた小学校1,2年生くらいの男の子が、元気に「迷子になりました!」。
自分で思いついたのか親御さんが教えたのか、迷子の自己申告、「あり」だと思いました。
作者は長年保育士として子どもと向き合ってこられた方。
「 ぐり と ぐら 」 ( 福音館書店 1967年1月 第1刷 ) 作者 中川李枝子 絵 山脇百合子(大村百合子)
今回あらためて…
今年9月、絵を描いた妹の山脇百合子さんが亡くなられたと、大きくニュースで取り上げられていました。心よりご冥福をお祈りいたします。
そのことがあり、あらためてこの絵本を読んでみることに。図書館に行ってみると、ぐりとぐらのコーナーが設けられていました。
お話の内容については、ご存じの方も多いかと思いますが、簡単に。
青い帽子と服を着ているのが「ぐり」、赤い帽子と服を着ているのが「ぐら」。
作者によると、ふたりの年齢は、人間でいう保育園の年長さんくらいとか。
本書はシリーズの第一作目。
ふたごの野ねずみの「ぐり」と「ぐら」のこの世で一番好きなことは「お料理すること」と「食べること」。。。あら、ひとつは私と同じです。
森の奥で大きな卵を見つけましたが、運べないので森のなかで卵料理をすることに。大きなフライパンで大きな「かすてら」を作っていると、美味しそうな匂いに誘われた森の仲間たちが集まって来て…
特別に大きな事件は何も起こりません。いつもの暮らしのなかに、ちょっとだけ変わったことがあって、それをうまく受け止めて、良いほうにもっていく姿が描かれているように思いました。
いつの時代にも変わらないものがそこにあり、それが長く愛されることにつながっているのではないでしょうか。
時空を超えて愛される…
「古さ」をまったく感じない、素敵なこの絵本。
初版は1963年の月刊「こどものとも」発行、1967年に「こどものとも傑作集」として第1刷。第166刷より、シリーズ名を「ぐりとぐらの絵本」に変更したとあります。まるで出世魚のようです。
60年近く愛され続けている名作、三世代で共有しているご家庭もあるのでは。
イラストのシンプルな筆致が…
自然で軽快な味わいがあります。一筆書きで描かれたような大きな卵やフライパン。
サラリと軽い筆づかいの野ねずみのぐりとぐら、木々や草花、森の動物たち。
そして、何も書き込まれていない、白い余白が、目に優しいです。
背負ってきたリュックを木の枝に掛けたりと、文章には書かれていない部分の細やかな表現も物語の奥行を広げています。
ぐりとぐらのからだの色は、国立科学博物館のオレンジ色のねずみの標本がヒントになっているそうです。
作者へのインタビュー。
17年間の保育士生活で感じた、母子の付き合い方や子どもに望むことについて語られています。
さてさて、ぐりぐらどっち派について。
このお話のなかで、大きな卵を見つけたとき、まず、ぐりは目玉焼き、ぐらは卵焼きを提案しました。
ということで私は目玉焼きの「ぐり派」です。