月曜日、暑さ寒さが彼岸を越えても。日中の気温が高いので、半袖でがんばってみようと思っていたけど、朝晩は長袖じゃないと無理になってきました。
「 はるなつあきふゆの詩 」 ( 偕成社 2018年6月 初版 ) 詩 ジュリー・フォリアーノ 絵 ジュリー・モースタッド 訳 石津ちひろ
四季おりおりのうた…
春にはじまり冬までの季節の移り変わりのなかで、感じたこと見たことを瑞々しい言葉で表現した詩の絵本です。
春の訪れ、トマトの実の赤い色、暖炉のそばの暖かさなど、何気ない日常の日々の小さなきらめきが美しい言葉で書かれています。
この絵本は、詩に添えられた山や海や野原の美しい絵とともに、タイトルに日付が使われ、まるで絵日記のように進んでいきます。
難しい言葉はひとつも使われていません。少女が感じた心のままに、言葉が紡ぎ出されているかのようです。
著者について…
ジュリー・フォリアーノのは、アメリカ、ハドソン・バレー在住の絵本作家、詩人。夫と三人の子供たちとの生活からインスピレーションを得ながら、作品を書き続けている。
ジュリー・モースタッドは、カナダ、バンクーバー在住のイラストレーター。絵本のほかアニメーションの制作などにも関わっている。
本作では、こどもたちの表情に、多感な時期の胸に秘めた細やかな感情がやわらかく表現されていると思いました。
一部詩を抜粋…
季節のなかで感じた小さな喜びや温かさを、素通りすることなくポケットにつかまえて言葉にしたような本書の詩になごみました。
いいなと思った詩を2編抜粋します。
はじめは、「はる」のなかの1編です。
6月10日
花の名前なんて
なんにもしらない
花が日なたで育つのか
日かげで育つのかも
わたしにはぜんぜんわからない
花が風で運ばれてくるのか
鳥といっしょにやってくるのか
それもわたしにはわからない
雨にぬれたら
花はこころぼそくなるのか
それともうれしいのか
それだってわからない
でもわたしはしっている
花たちがまぶしい光のほうへと
ぐんぐんのびていき
歌をうたいながらひらくってことを
花たちの歌声に
耳をすませていたら
ふっと気がついた
花の名前なんかしらなくても
花たちとなかよくなれるってことに
そしてもう1編、「あき」より。
10月15日
葉っぱは
自分がいつか
色あせて
土にかえることを
知っている
だからいつも
かろやかに
はらはらひらひら
まいおちる
いかがでしたか。みなさんのイチオシの1編もお聞きしてみたいです。
近くの庭園の曼珠沙華が、お彼岸を待っていたように咲いていました。