hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

勇気と純粋と無邪気と

表紙の絵、これは犬です。子犬。私はてっきり空想の世界の“なにか”と思ったのですが、子犬です。

  「  氷の上のボーツマン  」 ( 岩波書店 2009年11月 第1刷 ) 作者 ベンノー・ブルードラ  絵 ヴェルナー・クレムケ  訳者 上田 真而子

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ドキドキハラハラのストーリーです…

本書は「ボーツマン」という名前の黒いふわふわした毛の子犬と

3人の子ども、7歳のウ―ヴェ、6歳のヨッヘン、そして5歳のカトリンの物語です。

 

3人と子犬のポーツマンは遊びたくてしかたありません。

ポーツマンの飼い主、タグボートの船長のプット・ブレージングの許しをもらって海辺へ駆け出します。

寒い冬、凍った氷の上で夢中で遊んでいると、突然氷が割れて浮氷となり、海のほうへ流されてしまうのです。ボーツマンだけを氷の上に残したまま

いちばん年上の少年ウ―ヴェは、なんとかボーツマンを救い出そうとするのですが…

 

黒と赤だけを使って描いた版画も印象的です。

表紙の絵、何度見ても犬かな~?って思ってしまいますが、けれども、心細さや頼りなげなこの子犬の気持ちは、一目で伝わってきます。

 

作者は、子ども特有の心理を的確に捉えていて、要所要所で、子どもならではの心理による言動が絶妙のエッセンスになっています。

 

たとえば、

遊びに夢中になりすぎてハメを外したり

途中で全く別の方向に意識が飛んじゃったり、といった困った”あるある”から

 

危険を顧みず、一生懸命、決して諦めずにボーツマンを救おうとする

少年が持つ純粋で真っ直ぐな勇気まで、

 

見事な描写で表現されていて、ハラハラしながら最後まで物語を堪能しました。

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著者について…

作者のベンノー・プルードラは、1925年旧東ドイツドレスデン北方のミュッケンベルク生まれ。商船の船員や、教員、ジャーナリストを経て、1951年から児童文学を執筆。旧東ドイツの著名な児童文学作家です。作品は東西分断のころから、西ドイツでも高い評価を受けました。1992年に「マイカこうのとり」でドイツ児童文学賞を受賞しています。2014年逝去。

 

画家ヴェルナー・クレムケは、1917年ベルリン(旧東ドイツ)生まれ。歴史あるプラスチラバ国際絵本原画展の「金のりんご賞」を受賞した有名な画家です。1994年逝去。

 

訳者によれば、東西が分断され行き来が厳しく制限されたなかでも、子どもの本の世界では交流があったとのことです。子どもを思う愛情は、どんな壁も境も越えられるのだと温かい気持ちになりました。

 

作者の書いた児童書は、数々映画化もされています。

本書の主人公ウ―ヴェ少年、私が配役するなら、やっぱりリバーフェニックスくんに依頼したい。

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