9月最後の金曜日、ブラックフライデーって今もやっているのかな?
今日の一冊は、
「思いがけない贈り物」(講談社 1997年11月 第1刷)著者 エヴァ・ヘラー 絵 ミヒャエル・ゾーヴァ 訳者 平野卿子
大人のための童話…
季節はちょっと早いけど、なんとなく読んでみたくなって。
クリスマスの心温まる物語なのかと思って手に取ったのですが、いい意味で裏切られました。温まるまで時間がかかる、そこがまた味になってる物語です。
訳者のあとがきによると、著者はドイツの大人向け小説のベストセラー作家。なるほど。登場するこどもたちが、型にはまったよいこじゃない。それぞれに個性的な癖があり自分の欲望に正直です。
物語は、一仕事終えたサンタクロースさんが、手元にひとつの人形が残っていることに気がつくところから始まります。誰に渡し忘れたんだろう…サンタクロースさんは、さっそくパソコンでリストを調べはじめます。
…サンタクロースさん、パソコン使うんですね。データ管理ばっちりですね。
真面目なサンタクロースさんは、ひとつぐらいいいか…とは思わずに、まだ人形を渡していないこどもたちに会いに行くことにします。ソリではなく、タクシーで。
…サンタクロースさん、タクシー乗るんですね。運転手さんビックリしないのかな。
現実のこどもに近い?…
会いに行くこどもたちには、確固たる「自分の好き」があります。
「みんな、なににしたらいいかわからないから、人形をくれるのよ。それだけ」と言い放っちゃう子までいます。実にクールです。
それでも、律儀なサンタクロースさんは、いい加減な仕事はしません。人形を渡すのに相応しいこどもを探し続けます。
おすすめポイント…
個性あふれるこどもたちに注目です。6人の女の子と2人の男の子が出てきますが、ひとりひとりが面白い。
サンタクロースさんのお友達、ミセス・ハッピーとミスター・ラブにも注目。ふたりの性格の特徴に、大人なら「あるある」とうなずく方も多いのでは。
ストーリーも一筋縄ではいかなくて、立ち止まって考えさせられることしばしば。『「伝統的な男女の役割意識」を「無批判に受けつがないよう」』なんて、子供に理解できるのか、というような言葉も出てきます。
とはいえ、この本は児童書です。登場する子供たちと同世代の子が読んだら、どんな感想をもつのでしょうか。ぜひ、聞いてみたいです。
クリスマスのことを書いていたら、クリスマスソングが聞きたくなりました。こちらは最初から心温まる曲です。