田舎に住んでいるせいか、今夏は3回、家の中に入ってきた虫を、虫取り網で捕獲して外に帰っていただきました。2センチぐらいの大きさのブンブン羽音をたてて飛ぶ虫。ここ数年の恒例行事になっています。
今日は、虫の大好きな女の子の物語、
「カティとつくりかけの家」(ポプラ社 2021年10月 第1刷) 絵・作 福井さとこ
どんなストーリー…
チェコ共和国の小さな街に住む8歳の女の子カティ。都会の小さなアパートから、郊外にパパが5年かけて建てた手作りの家に引っ越しをします。カティは、パパ・ママ・妹のダダと犬のトビー、4人と1匹の仲良し家族です。
新しい家ではうれしい出来事が待っていました。窓辺のベットで満天の星空を眺めながら眠りについたり、冬になると近くの湖の凍った湖上でスケートしたり。
そして、親友と呼べるような新しい友達や、尊敬できる先生との出会いもあります。
引っ越し先での素敵な経験の数々は、空想好きのカティを楽しくて愉快な想像の世界にいざないます。
チェコの生活…
日本ではあまり聞いたことがないチェコの習慣が魅力的です。
チェコでは子どもの頃から芸術に触れる機会が様々な形で設けられています。
ーーー画廊に行って好きな絵画を選んで部屋に飾ったり贈り物にしたり。
ーーー放課後に通う芸術学校があり、音楽や絵画やバレエなどやりたいことを学んだり。
そして、生活のなかで大切にしていること。
ーーー風邪をひいたときは、まるべく薬は飲まず、ハーブティやスープで治す。
ーーーみんな心から家がいちばんと思っているそう。外食より家食が主流。
ーーー自分の意見をはっきり主張することで信頼される。「あいまい」NG。
日本とはちょっと違った価値観もあります。
著者について…
京都嵯峨芸術大学デザイン科卒。長年勤めていた会社を辞め、ドゥシャン・カーライ先生に版画を学ぶため、2014年からスロヴァキアのプラチスラヴァ芸術大学に留学。自作絵本でスロヴァキアの最も美しい本賞・学生賞を受賞しています。
シルクスクリーン版画で描かれたイラストがとてもステキです。どこか異国情緒を感じさせる淡い色使い。カティの想像の世界が躍動感あふれる線と色で、生き生きと表現されています。
都会ではひとりでいることが多かったカティですが、新しい家のある場所で、友達と楽しく遊んだり学んだり。自然の生命力は、人を元気にしてくれます。
チェコ共和国について…
ほとんど何も知らなかった国、本書を読んで関心を持ちました。画廊が並ぶ街並みを歩いてみたい。