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一期一会の本と日常のおはなし

「だいくとおにろく」大工と鬼のかけひきの行方は?日本昔話

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鬼の色は青・赤・黄・緑・黒の5色だそう。

「だいくとおにろく」

福音館書店 1962年6月 

月刊「こどものとも」発行)

再話 松居 直  

画 赤羽末吉

昨日記事にした「へそもち」の画家赤羽末吉さん

tokinoakari.hatenablog.com

絵が楽しく好きになったので

この作品も読んでみることに。

どんなお話…

むかし、あるところに、とても ながれの はやい

おおきな かわが あった。あんまり ながれが はやいので、

なんど はしを かけても、たちまち ながされてしまう。

むらの ひとたちは、とんと こまりはてていた。

物語はこんな文章ではじまります。

文章に添えられた絵が魅力的です。

 

半分残った橋の上で、お猿が二匹

バラバラになった橋の残骸が

川に流されていくのを可笑しそうに眺めています。

川の上空には鋭い目をした薄紫色の鳥が一羽。

 

躍動感のある描写

次は…?と引き込まれていきます。

 

村人たちは、一番名高い大工に

橋を架けてもらおうと頼みにいきます。

 

この大工、けっこう軽い感じのおやじさん。

調子がよさそうです。

二つ返事で引き受けますが

心配になって橋を架ける場所を見に。

 

すると、見ていた水のなかから二本の角が。

大きな鬼が現れました。

プロレスラーみたいな厳つい見かけの赤鬼です。

 

なぜか赤鬼は大工に向かって

橋を架けてやるから

そのかわりに大工の目玉をよこせ、と言いました。

 

大工はとりあわず

おれは、どうでもよい」と曖昧な返事をして

その場を立ち去りましたが

次の日、川へ行ってみると立派な橋が…

 

さてさて、

大工は赤鬼に目玉を取られてしまうのでしょうか。

 

ちょっといい加減な大工の

反応がひとつひとつ、とぼけた感じで面白いです。

 

当然のことですが

目玉をやりたくない大工が逃げ出すと

赤鬼はこれまた唐突に

目玉の代わりにある提案をします。

 

鬼、かなり一方的です。

そして、なぜその提案?意味わかりません。

 

が、大工は大工で適当です。

本気でその提案に向き合うこともしないのに

ふらふらしていたら

偶然上手くいっちゃいます。

 

鬼と大工のやりとりは掛け合い漫才のよう。

鬼がツッコミで大工がボケ?

大工がツッコミで鬼がボケ?

鬼も大工もどっちもどっちな感じ

不思議で楽しいお話でした。

 

なぜ「目玉」なのか

なぜ代わりの提案が「それ」なのか

読み手によっていろいろ解釈できそうで

考えてみるのも面白いかと思います。

 

とりあえず村の人たちは

立派な橋が架かって喜んでますね。

 

色彩豊かなページと

白黒の水墨画のようなページが

交互に出てくる絵にも注目です。

作者について…

再話の松居直(まつい・ただし)さんは

1926年京都市生まれ。

福音館書店の創業に参画し

編集者・社長・会長・相談役を歴任

日本の児童文学に大きな貢献をされた方。

 

「こぶじいさま」や「ももたろう」などの絵本のほか

「絵本とは何か」「絵本をみる眼」「私のことば体験」など

絵本に関する著書も多数。

 

また、編集者として本書の赤羽末吉さんや

ぐりとぐら」の中川李枝子さんなど

多くの絵本作家を世に送り出しました。

昨年2022年11月、96歳で逝去。

 

知れば知るほどすごい方

絵本初心者の私は今回初めてその人物像に触れました。

絵本や言葉に関する書籍を沢山書かれていますので

ぜひ読んでみたいです。